キャンプ・シュワブ前に座り込む市民と、強制排除する県警機動隊(沖縄タイムス提供)
キャンプ・シュワブ前に座り込む市民と、強制排除する県警機動隊(沖縄タイムス提供)
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作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、沖縄の基地問題について。

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「わたしたち」は、沖縄への暴言を吐き続けてきた。

 2011年11月、当時の田中聡・沖縄防衛局長が、「これから犯す前に『犯しますよ』と言いますか」という趣旨の発言を、記者たちとの非公式懇談の場でした。普天間の代替基地建設に関する話題の中での言葉だった。

 2013年1月、沖縄県内の全41市町村の首長らがオスプレイに抗議するデモを東京・日比谷でした際には、「売国奴」「日本から出てけ」と、沿道から汚い声をあびせ続けた集団がいた。

 2014年1月、辺野古への基地建設が争点になった名護市長選挙について問われた自民党幹事長(当時)の石破茂氏は、「基地の場所は政府が決める」と言い切った。

 2016年10月、抗議運動に加わる芥川賞作家の目取真俊さんによって、大阪府警の機動隊員が「どこつかんどんじゃ、ぼけ、土人が」と言った場面が撮影され、報じられたが、当時の松井一郎・大阪府知事はツイッターに「命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様」と記した。また、当時の安倍政権は「土人」発言を「差別と断定できない」と述べた大臣の訂正や謝罪は不要とする答弁書を閣議決定した。

 2017年1月には、TOKYO MXの番組「ニュース女子」が、「機動隊が暴力を振るわれている」「(基地反対派は)日当をもらっている」などとデマを流した。さらに沖縄の運動に深く関わる辛淑玉さんを名指しで攻撃した(今年6月、東京高裁は辛淑玉さんへの名誉毀損を認め、制作会社のDHCテレビジョンに550万円の支払いと謝罪文の掲載を命じた)。

 挙げればきりがない暴言を、「わたしたち」は繰り返し吐いてきた。沖縄の選挙結果が示した「辺野古新基地反対」の声をねじ伏せ、沖縄戦の遺骨が混じっているかもしれない土砂を、ジュゴンが泳ぐ珊瑚の海に投げ入れてきた。沖縄の選挙に一喜一憂するリベラルな「わたしたち」も、自分の暮らす地域では、非自民党議員を推す力はなかった。「わたしたち」は、沖縄の海を愛ではするが、「わたしたち」の国を変えることはできなかった。

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沖縄から沖縄と日本を見つめてきた3人の記録