中核派のスクラムデモ(撮影:上田耕司)
中核派のスクラムデモ(撮影:上田耕司)

 安倍晋三元首相の国葬が行なわれた27日、会場となった日本武道館にほど近い、東京都千代田区の九段坂公園には一般に向けての献花台が設けられ、午前10時からの予定を30分早めて献花が始まった。

 献花を待つ人たちが500メートルくらいの行列を作っていた。献花した大学4年生の男性(22)は、同じ大学の彼女と2人でやって来た。手には「日の丸」とデパートの紙袋を持っていた。

「今日は授業のない日だったんです。デパートで昨日のうちに花を買って、用意しておきました。『学生なんで予算少なめで』とお願いしたんですが、1500円と安くはなかった。自民党を支持している若者が多いと聞くから、献花に来るのかなと思ったら、意外と若者は少ないですね。ご年配の方が多い」

 安倍元首相についてはこう話す。

「安倍さんはものすごい功績を残された方。外交安全保障に強く、平和のために尽くされた。小泉純一郎内閣で官房長官だったころからすごい政治家だなと思っていました。安倍さんは尊敬する人です」

 静かな献花台近くでは、東京都大田区から来た56歳の男性が「国葬反対」のビラを持って、反対を叫んだ。通りの向かい側では言い争う声。行ってみると、30代の女性が「献花台の近くなのに『国葬反対』のチラシを持っていた。警察は何もやらないから、取り上げてやったのよ」と、手に持ったくしゃくしゃの「国葬反対」のチラシを見せた。

 献花を終えた20代の男性は、チャンネル登録者数が2万人超えのYouTuberだという。

「今日はYouTubeの撮影がてら来ました。朝7時頃にやって来て、整理券を取って2時間から3時間くらい並んで待ちました。献花で安倍さんに思いを伝えられるのは一生に1度のこと。国葬反対デモには反対です。やっても意味がないと思うから。2時からの国葬に合わせて何かが起きるというので心配なんです。これから国会議事堂の方へ行ってきます」

 千代田区神田淡路町の淡路公園には「改憲・戦争阻止!大行進」実行委員会主催の「安倍国葬粉砕! 9.27 武道館へ怒りのデモを!」集会が開かれた。労働者、市民などいろんな人たちが参加している。その中には「革命的共産主義者同盟(革共同)中核派」の姿も。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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