「改憲・戦争阻止! 大行進」実行委員会主催の「安倍国葬粉砕! 9.27 武道館へ怒りのデモを!」集会にて(撮影:上田耕司)
「改憲・戦争阻止! 大行進」実行委員会主催の「安倍国葬粉砕! 9.27 武道館へ怒りのデモを!」集会にて(撮影:上田耕司)

 集会が始まると、数十人が「中核派」「全学連」の白いヘルメットを被った。革共同政治局員の石田真弓氏(35)はこう話す。

「ヘルメットを被ってのデモはしばらくやっていませんでした。昨年も一昨年もやってませんね。今年に入ってデモは3回目。ヘルメットは前回のデモでもかぶりました。私たちが強調しているのは戦争のための国葬を阻止しようということです。安倍政治は改憲や戦争準備を推し進めた。国葬はそれを功績として讃えるものです」

 集会に参加していた27歳の女性は、「昨日、京都から国葬反対集会に参加するために来ました。障害者のグループホームで働いています。国葬の強行は戦争への道を開くものだと思っています。人の命を守るために国葬に反対しています」と話す。

 看護師の新井佳世子(48)さんは、「国葬は絶対反対です。国葬を強行することで労働者を黙らせ、安倍さんがやりたかった“戦争のできる国”に向かって進めようとしている。日米は軍事練習をし、国際的な核の共有の動きもある。岸田政権は国葬をきっかけに挙国一致の体制を作ろうとしているんです。私はデモでは太鼓をたたいて抗議の意思を示します」と話した。

 久々に見る中核派のデモ。デモ隊が通り過ぎる時、通行人は珍しがってスマホで写真を撮る人が多かった。中核派は武道館近くではお互いががっちりスクラムを組んだ。近くにいた男性が「中核派のデモってギャグかと思ったら本気かよ、この野郎」と叫ぶ。別のスーツの男性も何やら大声で叫び、何度も隊列に突っ込もうとしていたが警察官に体で止められていた。

 国葬が始まった午後2時頃になると、九段下の交差点付近で、機動隊数十人と「改憲・戦争阻止!大行進」実行委員会の中核派、労働者、市民グループが激しく押し合っていた。機動隊が「これ以上入るな」と押しまくっていた。実行委員会のメンバーも負けじと機動隊とぶつかり合い、押し戻す。「なぜ規制線を深くするのか」「警察は帰れ」「国葬中止」と叫んでいた。

「あまり武道館に近づくと、向こうから国葬に反対する様子が見えて格好が悪いから規制線を深くしたんでしょう。機動隊はこういうことをするんですよ」(グループの労働者)

 前出の新井さんは、「あれ程の警察権力の弾圧を跳ね返して、デモには600人、その後の武道館近くでの抗議行動にも300人が参加した。そして沿道から両手を高くあげて手を振って連帯の意思を示してくださった民衆のみなさんと一緒に、最後まで反対の意思を示す闘いをやり抜けたことに感動しました」

 世論が割れたまま行われた安倍元首相の国葬。政府による説明不足が混乱を拡大させていることは間違いない。(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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