――国内メーカーでは塩野義製薬が、軽症・中等症患者向けの飲み薬「ゾコーバ」の緊急承認を厚労省に求めていましたが、見送られました。どういう理由で承認されなかったのでしょうか。

「ゾコーバ」は、まだ第3相試験の結果が出ていないため、人に対する有効性がわかっていません。ウイルス量が試験管の中では減るところまでは、試験結果が出ています。しかし、「アビガン」が当初、ウイルス量を減らすことで処方されましたが、結果的に人への効果が統計的に確認できませんでした。ウイルス量が減ることよりも重要なのは、患者の症状が改善することです。

 すでに効果が9割近く認められている「パキロビッド」を200万人分も確保していながら、使われていない現状からして、今後は、これをいかに賢く使うかを検討すべきではないでしょうか。

(構成/AERA dot.編集部 岩下明日香)