高橋治之容疑者
高橋治之容疑者
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 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会の元理事、高橋治之容疑者が、出版大手「KADOKAWA」から約7千万円の賄賂を受けとったとして、東京地検特捜部は9月6日、受託収賄の疑いで再逮捕し、KADOKAWAの芳原世幸(としゆき)元専務ら2人を贈賄容疑で逮捕した。高橋容疑者の知人で、コンサルタント会社社長の深見和政容疑者も受託収賄容疑で逮捕した。今後、捜査が政界へと進むのか注目される。

【写真】五輪の組織委で森喜朗元首相と話す高橋治之容疑者

 芳原容疑者らは、出版業界もスポンサー枠に新設されるようにと高橋容疑者に依頼し、2019年7月~21年1月、10回にわたりKADOKAWA名義の口座から、深見容疑者が経営する「コモンズ2」に約7千万円を賄賂として支払ったというものだ。

 深見容疑者は、電通時代は雑誌部門での仕事が長く、高橋容疑者の後輩だったという。コモンズ2は高橋容疑者も取締役だったことがあり、関係は深いとみられる。

 5日には、スポンサーの獲得業務を担った広告大手「電通」の下請けとなる「販売協力代理店」に入れるよう、電通の元専務の高橋容疑者に依頼し、見返りに賄賂を渡した疑いをめぐり、広告大手の「大広」(大阪市)の東京本社などを東京地検特捜部が家宅捜索している。

 KADOKAWAは、「当社は、本件を厳粛に受け止めており、東京地検の要請に誠意をもって対応するなど引き続き、当局の捜査に全面的に協力してまいります」

 とコメントを発表。大広も強制捜査を受けたことを認め、

「東京地検の捜査に協力していることは事実です。当社はかかる事態を厳粛に受け止めるとともに、引き続き当局の捜査に全面的に協力してまいります」

 としている。

 AOKI、KADOKAWA、大広。高橋容疑者は3ルートから資金提供を受けたとされ、うち二つについて立件された。高橋容疑者が理事の立場で便宜を図り、報酬を得ていたとされる構図は3ルートとも同じだ。

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特捜部が政界を狙っているという見方はできる