元々高かった評価を甲子園の活躍でさらに上げた高松商・浅野翔吾
元々高かった評価を甲子園の活躍でさらに上げた高松商・浅野翔吾

 仙台育英の初優勝で幕を閉じた夏の甲子園ドラフト候補という意味では浅野翔吾(高松商・外野手)、松尾汐恩(大阪桐蔭・捕手)、山田陽翔(近江・投手)などが注目を集めた。今後はプロ志望の選手をどの球団が狙っていくかということが話題となっていくが、一足早く注目の選手を狙うべき球団について探ってみたいと思う。今回は野手編だ。

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 野手で最も高く評価されそうなのはやはり3試合で3本塁打を放った浅野になるだろう。ホームランだけでなく、厳しいマークの中でも10打数7安打とヒットを量産し、盗塁も2つ決めるなど脚力でもアピールして見せた。甲子園未出場の選手を含めても総合的に見て今年の高校生野手では1、2を争う存在であり、1位指名の可能性も高い。香川大会の初戦ではDeNAは球団代表を含む4人、ソフトバンクも3人体制で視察に訪れており、注目度の高さがうかがえたが、チーム事情を考えるとこの2球団以上に浅野の必要性が高いのはヤクルトではないだろうか。

 若手の右打者でパンチ力のあるタイプは捕手の内山壮真を除くと浜田大貴と今シーズン支配登録となった赤羽由紘くらいしか見当たらない。外野を見ても一軍の戦力は中堅、ベテランが多く、現在不動のセンターとして活躍している塩見泰隆も来年30歳ということを考えるとその後釜候補が欲しいところだ。過去10年の指名を見ても高校生野手を1位、2位の上位で指名したのは広岡大志と村上宗隆の2人だけで、広岡はすでにトレードで球団を去っており、そろそろ高校生の大物野手の指名を検討しても良いタイミングである。ホームランが出やすい神宮球場が本拠地というのも、浅野にとってはプラスになりそうだ。

 もう1人上位指名が予想されるのが捕手の松尾だ。チームは準々決勝で敗れたが、松尾自身は5割を超える打率を残し、2本のホームランを放つなどさすがの長打力を見せている。また守備面も大きくレベルアップしており、高校生捕手としては昨年の松川虎生(ロッテ)に続いての1位指名も十分に期待できるだろう。次代の正捕手を担えそうな若手捕手が少ない球団となると阪神日本ハムの2チームが当てはまる。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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