寝転がってこちらを見る愛らしいミーちゃん
寝転がってこちらを見る愛らしいミーちゃん

(写真はいずれも提供)

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 飼い主さんの目線でのストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回は、東京都在住の男性Sさん(47)に、雌の黒白猫ミーちゃんのお話を伺いました。ミーちゃんは、つらい時にいつもSさんを励ましてくれたといいます。

 先日、この「猫を訪ねて三千里」のコーナーに“マンハッタンに暮らす猫みーちゃん”の話が載っていました。私の猫と名前が同じなのと、以前、ボストン、ニューヨークを旅したことがあったので楽しく読ませてもらいました。うちはカタカナで「ミーちゃん」です。

 そのミーちゃんは5年前に亡くなりました。命日の前日に記事を読んだので、運命のようなものを感じました。私にべったりだったので、心の空洞はなかなか埋められないのですが、話すことでミーちゃんの新たな供養になるのではないかと思ったのです。

 ミーちゃんは2009年11月下旬、生後3カ月で我が家にやって来ました。母が保護活動をしている知人から譲り受けたのです。

“へそ天”しながら「遊ぼうよ」
“へそ天”しながら「遊ぼうよ」

 甘えん坊で、来た日にもうスリスリ、ゴロゴロしていました。先住の黒猫がいたのですが、その前で「こっち見て」と私にアピール。私がそのポーズを見るのが好きなのを知ると、前脚で私にちょんちょんと触れて、お腹を見せてくれました。そのうちに、私の気を引くためパソコンのマウスを下に落とすことを覚えて、いつまでも寝ていたりすると、マウスを落として私を起こしてくれました。

寝ながらあくび
寝ながらあくび

■家出の後に思いも絆も深まった

 私と仲良くなったミーちゃんですが、じつは家に来て少ししてから家出をしました。

 すぐに保健所と警察署に届け出て、町の掲示板やバス停に貼り紙をして情報提供を求めました。家は山を切り崩して開発された住宅地にあり、大きな道はないのですが、寒くなる季節で心配になりました。仕事から帰るとすぐに探しにいくという日が続きました。

 すると、近所の地域猫と一緒にいるのを見かけたという情報が入り、「近くの小山で見た」という小学生も現れ、餌を置くようにしました。そして、捕獲機を借りていよいよ保護という直前、何とミーちゃんが「ただいま~」というように自ら家に戻ってきたのです。

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水野マルコ

水野マルコ

水野マルコ/1961年生まれ。ライター。猫と暮らして30年。今は優しいおばあちゃん猫と甘えん坊な男子猫と暮らしています。猫雑誌、一般誌、Web等での取材歴25年。猫と家族の絆を記すのが好き。猫と暮らせるグループホームを開くのが夢。

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私が傷ついた時にもやさしい