ブラックな職場では「サバイバル術」がより重要になる。写真はイメージ(PIXTA)
ブラックな職場では「サバイバル術」がより重要になる。写真はイメージ(PIXTA)

仕事にやりがいを感じていている人でも、労働環境がブラックな人でも、転職を考えている人の多くは「人間関係」に悩み、それを主な転職理由としています。気まぐれな上司、言うことをきかない部下、一方的に敵視してくる同期……組織とは人がつくり、人で成り立つものであるがゆえに、人間関係の悩みは尽きません。自分が所属する組織の中でどう振る舞い、どのように人間関係を築くかは、決してAIには代替できない「最強のスキル」なのです。特に規律を重んじる官僚組織では、それはより顕著になります。内閣府の元官僚・久保田崇さんはハードな現場で「処世術(スキル)」を武器に生き残ってきました。その一部を『官僚が学んだ究極の組織内サバイバル術』(朝日新書)より抜粋。今回は「ブラックな職場から身を守る術」というテーマで、心身を病む前に人間関係を“やり過ごす”スキルを紹介します。

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 霞が関の官庁に勤めていた20代から30代の頃は月に150時間の残業をしていました。残業の多さやストレスに耐えかねて体に不調が現れたり国会内で倒れたこともあります。しかし、私にとって幸いだったことは、苦しくてつらい法案作成作業の先には、生きづらさを抱える当事者を支援する仕組みが整い、少しでも社会がよくなるという実感が持てたことでした。さらには、その苦しいときを共に励まし合いながら過ごすことができた上司や同僚、部下などチームのメンバーに恵まれたことです。それがなかったら、とてもやっていけなかったに違いありません。

『ブラック霞が関』(2020年、新潮新書)の著者で友人の千正康裕さんがこう述べています。

<厚労省を含め霞が関では、仕事が増え続ける一方で、人員は減り、長時間労働が常態化しています。長時間労働そのものの問題もありますが、より本質的なつらさは、社会の役に立ちたい、この国で暮らしている人たちの生活を少しでもよくしたい、そのための政策をつくれるはずだという思いで官僚になったのに、そういう実感が持てずにいることです。>

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