目先の視聴率や、再生回数を追うために、モラルや倫理に欠けた内容を発信する番組やYouTuberは、一時的には数字が取れたとしても、長く存続しません。YouTuberにおいては、とくに顕著で、目先の数字にとらわれた動画を出すと、一時的に数字は取れても、人気は継続せず、1~2年以内にオワコンとなってしまう可能性が高いです。確かに、より多くの人に見てもらうことは重要ですが、そのためにモラルに欠く行動をすると、長期的には視聴者が離れてしまうからです。

 テレビは、日本では約70年の歴史を持つメディアです。一方、YouTubeは開設されてから17年の新しいプラットフォームです。テレビとYouTubeは、歩んできた歴史が違うため、同列に語ることは難しいのかもしれません。人気YouTuberの多くは、活躍して数年以内の人がほとんどで、昭和から令和のようなダイナミックな時代や価値観の大幅な変化は経験していません。

 一方、テレビでは業界で10年や20年、もしくはそれ以上活躍している人も少なくありません。昭和、平成、令和と時代が移り変わる中で、時勢や視聴者の価値観や生活スタイルは変化し、番組の作り方やあり方も変化しています。つまり制作者は、自身の価値観を時代に合わせてアップデートし続ける必要があります。例えば、事故や自殺を報道する際に、遺族の自宅や学校などに多くの報道陣が訪れて話を聞くことは、一昔前であれば、「当たり前の風景」だったのかもしれません。しかし時代は変わっています。そうした行動は非常に残酷で、必要性があるのかどうか疑問だと感じる人が増えていると思います。報道側と視聴者側で、価値観がずれていないか、すり合わせる必要があります。人の死は、とくに重い情報です。視聴者の感性に近い人物が中にいないと、長年の慣習の違和感に気づきにくい可能性もあります。

 テレビは今も影響力がとても大きいメディアなので、報道姿勢や倫理は、改めて問われる部分です。YouTubeも同様で、発信者に求められるのは、良い影響力です。それが情報を発信する側の責任だと考えます。

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なーちゃん

なーちゃん

なーちゃん/二児のママ兼YouTuber。2014年にチャンネルを開設。長男・こうちゃんと出演する動画は子どもから親まで幅広い層から人気を集め、”ファミリー系YouTuber”としてカリスマ的存在に。登録者数209万人、総再生回数13億回(2019年10月時点)を誇る。

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