■横浜FM:栗原勇蔵

 1983年9月18日、神奈川県生まれ。ジュニアユース、ユースを経て2002年にトップチームに昇格。以降、引退した2019年までマリノス一筋18年を貫き、長くチームの主力として働いた“ワン・クラブ・ディフェンダー”。高さを筆頭にフィジカル能力に秀でたセンターバックであり、メンタルの強さも大きな魅力で、J1通算316試合に出場し、A代表では通算20試合に出場した。マリノスユースからは、他クラブも含めて多くの選手がJリーガーとなり、栗原以外には石川直宏、坂田大輔、田中隼磨、ハーフナー・マイク、水沼宏太、齋藤学という名手たちが揃うが、「ハマの番長」とも呼ばれた“激しさ”を持ちながら、トリコロール“愛”を貫いた栗原の働きを、最も評価したい。

■湘南:茂庭照幸

 1981年9月8日、東京都生まれ。ハードマークが売りでJ1出場300試合を誇るセンターバック。FC東京のイメージが強いが、平塚ジュニアユースで腕を磨き、ユース時代の1999年の8月にJデビュー。翌2000年にトップ昇格を果たし、J2の舞台で2年間プレーした。その後、2001年にFC東京へ移籍し、主力として実績を重ね、C大阪でも活躍。国際舞台でも、2003年にA代表に初招集されると、2004年のアテネ五輪にも出場。2006年のドイツW杯では田中誠の負傷によって追加招集され、休暇中のハワイから駆け付けたことでも話題になった。茂庭以外だと、「湘南の貴公子」としてJ2で多くのゴールを奪った高田保則が思い出されるが、それ以上に齊藤未月、田中聡といった現役のユース出身プレイヤーの今後の成長を期待したいところだ。

■新潟:酒井高徳

 1991年3月14日、米ニューヨーク市生まれ。2歳の時に新潟県三条市に移り、高校で新潟ユースに入団し、2009年にトップ昇格。サイドを激しく上下動できるスタミナと左右両足から繰り出される正確なクロスが武器で、対人プレーにも強い高性能サイドバックとして活躍した。2011年冬からはシュトゥットガルト、ハンブルガーSVと母の母国であるドイツでも評価を高め、2019年からは神戸でプレー。日の丸も背負い、2012年のロンドン五輪に出場した後、W杯には2014年ブラジル大会、2018年ロシア大会と2大会連続でメンバー入り。強力なライバルたちの脇役に回ってしまった印象が強いが、サイドバックとしての能力は日本代表の中でも歴代屈指のものがある。その他の新潟ユース出身者では、“至宝”本間至恩の存在が際立つが、まだまだ“ゴートク”の働きには及ばない。

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