「政治の話題もジョークに。アメリカのトーク番組は笑えて勉強にもなります」と話す廣津留すみれさん(撮影/高野楓菜=写真映像部)
「政治の話題もジョークに。アメリカのトーク番組は笑えて勉強にもなります」と話す廣津留すみれさん(撮影/高野楓菜=写真映像部)

 ハーバード大学とジュリアード音楽院、学問と音楽で世界のトップ校を卒業した廣津留すみれさんは、今も英語表現を磨くため勉強を続けています。『AERA English2022』(朝日新聞出版)では、楽しみながら英語に触れるコツを聞きました。

【写真】ハーバード時代の廣津留すみれさんはこちら。

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 一昨年コロナ禍で帰国するまでは、ボストンに4年、ニューヨークに4年住んでいました。その間は、仕事でも日常生活でも会話の大半は英語。音楽の仕事をしていると、レセプションでもいろいろな方とお話しする機会があるので、フォーマルな言葉遣いや自己紹介、同行者紹介といったマナー的な部分も、自然と身についたと思います。

 カジュアルな会話表現は、トーク番組のゲストコーナーも参考にしています。私が最近素敵だと思ったのは、女優のジェニファー・ローレンス。本音トーク炸裂で飾らないところがいいな、と。スティーブン・コルベア、ジェームズ・コーデン、エレン・デジェネレスといった有名MCの番組は、YouTubeに公式チャンネルがあるので見やすいんです。彼らも含めアメリカのコメディアンのジョークは、政治や時事ネタに絡めたものも多いので、面白いだけでなく勉強にもなります。

 YouTubeでは、スピーチの動画もよくチェックしています。例えば2020年にアカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスのスピーチ。欧米では俳優も政治や社会問題について積極的に意見を発信していますが、ホアキンはオスカーの舞台で人種差別や動物の搾取といった話題に触れたところがすごい。彼のスピーチは、私が客員講師を務めている成蹊大学の授業でも、ディスカッションの題材に取り上げました。俳優が社会問題について情報発信できるアメリカのカルチャーや、キャリア以外のことにも関心を持ち、果敢に行動する彼らの姿勢は、学生にも知ってほしいですね。

■留学前に2万語を暗記 難解な単語に苦労

 学習アプリは特に使っていないのですが、英語に役立ちそうなツールを一つあげるとすれば、スマートフォンのGoogle Assistant。カップ麺にお湯を注いで「Set a timer for 3 minutes.」と言えば、両手が塞がっていてもタイマーがセットできるし、「Tell me a joke.」 と話しかければ、ジョークを教えてくれます。スマホの音声入力設定を英語にすれば、日常で使う言葉を英語で言う練習にもなるし、発音もチェックできます。アメリカでは、AI(人工知能)が私の代わりにレストランに電話をかけて予約を取ってくれる機能も使えて、もはや秘書です(笑)。

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ハーバード大は海外の学生のケアが充実