
森友学園問題は今も混乱が続く――。安倍晋三元首相や妻昭恵氏の関与が疑われ、財務省が公文書を改ざんするなど様々な問題が噴出した森友学園をめぐる詐欺事件。国有地を買い、小学校を建設する際に、国や大阪府、市から補助金をだまし取ったとして詐欺罪に問われ、一審で有罪判決を受けていた森友学園理事長の籠池泰典被告(69)と、妻の諄子被告(65)の控訴審判決が4月18日、大阪高裁で言い渡された。
判決では、泰典被告の控訴は棄却され一審通り懲役5年。諄子被告は、一審の執行猶予付き判決が取り消され、懲役2年6月の実刑判決となった。
2人は、一審で検察側が証拠として出していた、小学校建設時の業者との録音データが改ざんされていると新証拠を提出し反論。詐欺の意図を否定し、「安倍元首相の妻昭恵夫人が判決に影響している政治マターの裁判だ」などと持論を展開した。
諄子被告は一審では一部無罪だったが控訴審では、
「泰典被告が中心的な役割を果たしている」
「諄子被告が、泰典被告が虚偽の補助金申請をしていたことを知らないというのは不合理だ」
などとして、さらに厳しい判断を下した。
判決の言い渡しが終わり、閉廷後も泰典被告は、「こんな判決は許せない。検察はとんでもない」と真っ赤な顔で声を荒らげると、傍聴席で判決を聞いていた籠池夫妻両被告の2人の娘も検察官に向かって、
「資料を返せ。大事な証拠だ、返さないとなくなってしまう。返せ!」
と声を上げ、廷内は騒然とした。裁判所の職員が、
「法廷は終わりました。退席ください」
と何度も呼びかけるが、「裁判所、検察は本当にひどい」と泰典被告はさらに大声で訴えた。傍聴席からも「そうだ!」と呼応する人も出て、さらにヒートアップ。判決の言い渡しが終わり、裁判官が法廷から姿を消してからも混乱が続いた。
その後、すぐさま控訴した両被告は取材に対し、「安倍総理にたてついた者は最初から、実刑にしてやると決めつけているような判決。裁判所までが森友学園事件を封印しようと、忖度(そんたく)している」と強烈な“籠池節”で独自の見解を述べた。