「AO入試の筆記試験も各学部のポリシーに沿って作問していますから、一般選抜とまったく異なる力を測っているわけではありません。一般選抜に加えて総合的な選抜を行っているため、AO入試を合格した学生の学力は一般選抜で入った学生とまったく同等、あるいはそれ以上と考えています」(滝澤副学長)

 滝澤副学長によれば、「リーダーシップをとれる学生にはAOで入った人が多い」という。もちろんAO入試を突破する学生は、活動報告書の作成や面接を通過していることもあり、もともと活動的であることが多い。だがそれに加えて東北大はAO入学者等に対する「入学前教育」を充実させてきた。入学を控えた高校生のために、大学のイントロダクションや2週間程度の海外研修プログラムなどを用意している。

 同大は「高校の進路指導教諭が選ぶ『面倒見が良い大学』ランキング」(大学通信調べ)で例年上位に選ばれているが、それにはこうした教育の手厚さも背景にあるようだ。

「AO入試の定員を増やした背景には、当初に比べて高校からの理解が深まってきたこともあります。私たちはAO入試の導入時から、東北大の志願者が多い高校上位300校の進路指導の先生と対話を重ねてきました。進学説明会・相談会なども開き、過去問もWebでしっかり開示しています」(同)

 学力だけでなく学習意欲も評価されるAO入試。今後もさまざまな大学で導入が進んでいきそうだ。

(白石圭)