17年に「新フンボルト入試」を導入し話題を呼んだお茶の水女子大
17年に「新フンボルト入試」を導入し話題を呼んだお茶の水女子大

 探究活動は各大学で重要視されている。例えば早稲田塾のある学生は、趣味で愛好していた城郭についての探究活動をまとめたスライド資料を作成した。実家に江戸時代につくられた家があり、コロナ禍で学校が休校したときに大掃除をしたところ、当時のさまざまな物品が発掘された。そこでこの家を登録有形文化財に申請しようとしたが、税金面などでさまざまなハードルがあることがわかった。そうした経験も織り交ぜ、文化財の研究をしたいという熱意を273ページの資料にまとめ、慶應義塾大と東北大に合格したという。

 ほかにも多様な入試形式を実施している国立大がある。千葉大は、高校2年修了後に大学に入学できる先進科学プログラム「飛び入学」制度を1998年に導入しているが、22年度入試から、総合型選抜+一般入試+面接で受験できる「総合型選抜方式」を高校2年生向けに設けた。

 地方の国立大は地域貢献のための人材を求めている。島根大は21年度から総合型選抜I「へるん入試」を実施。島根県松江市の中学校で教鞭を執った作家のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が、ファミリーネームの「Hearn」から「へるん」と呼ばれたことから名づけられている。入試形式「へるん特定型」のひとつでは、地域の課題を示し解決策を提示する「地域志向レポート」を提出し、それに基づいた面接を通じて地域課題への興味関心が評価される。定員は鳥取・島根県枠と全国枠に分けられている。

■お茶の水女子大の2日間にわたる選抜

 近年、教育関係者がユニークな入試として注目するのが、お茶の水女子大が17年度に導入した「新フンボルト入試」だ。第1次選考では「プレゼミナール」として大学の授業を実際に受け、レポートを書く。それに加え、志望理由書などの出願書類が評価対象となる(理系学科は出願書類のみで評価)。

 第2次選考では、2日間にわたる「図書館入試」が行われる(理系学科の場合は1日の「実験室入試」)。1日目は、大学図書館の資料を自由に読みながら課題についてのレポートを書く。2日目は、グループ討論と面接が行われる。

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国立のAO入試ランキング1位は東北大