今回の予約対象は、2回目の接種から6か月以上が経過した、18歳以上の3回目接種者だ。サイトには、予約申請には「自治体から送付された3回目接種用の接種券」を持っている必要があると記載があるが、防衛省の関係者によれば、桁数さえ合っていれば、対象以外の人でも「誰でも予約できてしまう」という。

「自衛隊による1~2回目の大規模接種は昨年5月から東京・大阪の2会場で実施し、11月には一度会場を閉鎖していました。問題発覚から8か月以上が経った上、一度閉鎖したことで、十分な時間があったとも言えます。今回も虚偽予約を防ぐシステムを構築していないのはどうしてなのか」(防衛省関係者)

 防衛省は取材に対し、虚偽予約が可能な設計であることを認め、「いずれにせよ不正な手段によってワクチン接種の予約を実施することは、ワクチン接種を本当に希望する方の機会を喪失し、貴重なワクチンそのものを無駄にしかねない悪質な行為であるため、くれぐれも虚偽予約をしないでいただきますよう、お願い申し上げている」と呼びかけた。

 前出の防衛省関係者によると、大規模接種の運営を担うのは、昨年にも委託を受けた「日本旅行」と「マーソ株式会社」。昨年、あれだけの欠陥を残しておきながら、顔ぶれはまったく同じだ。防衛省から直接委託を受けたのは日本旅行で、専用サイトの下部に「© MRSO Inc」と記載があるように、サイトはマーソ社が日本旅行から発注を受けて作成したとみられる。

 今回の日本旅行への委託も前回と同様、競争入札を行わず「随意契約」だったという。防衛省関係者は、「入札ではないので価格競争が生じず、相対的に多額の血税が出ることになる」と懸念を口にした。

 一体いくら投じられたのか。防衛省に日本旅行への委託額を問い合わせたところ、「約4億円」(令和4年3月31日まで)と回答があった。防衛省は昨年5月から11月にかけて行われた1~2回目の大規模接種でも、日本旅行に東京センターの運営業務を委託。この時も、約19億5000万円での随意契約だった。

 昨年に予約システムの欠陥など問題点が露見した中で、なぜ、今回も同様の2社への随意契約がなされたのだろうか。

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