オミクロン株の急拡大を受け、1月31日、防衛省が管轄する「自衛隊大規模ワクチン接種会場」(東京・大手町)で、3回目を対象にした接種が始まった。大規模接種センターといえば、昨年5月に「誰でも何度でも予約可能」なシステムの重大欠陥をAERAdot.が報じ、防衛省が「一部改修」を宣言していた。あれから8か月以上が経過し、満を持して新設された今回の予約サイト。だが、またもや「架空の番号でも予約可能」という驚きの事実が、関係者への独自取材でわかった。一体どういうことなのか。

【写真】存在感なさすぎなどの批判が上がっている大臣はこの人

 前回の予約システムは、予約サイトと生年月日、接種券番号などの個人情報を紐づけていないことが原因で、「誰でも」「何度でも」予約できてしまうというシステム上の大きな欠陥があった。

 岸信夫防衛大臣は昨年5月18日の会見で、予約サイトと接種券番号や生年月日など個人情報の紐づけをしない理由について、「虚偽予約を防止するシステムを短期間で実現するのは困難」「接種対象となる国民の個人情報を防衛省が把握することは適切ではない」と述べていた。

 あれから8ヶ月以上が経ったが、防衛省関係者によれば、今回新設されたサイトも「架空予約が可能」だという。

「予約システムのずさんなシステム設計は、相変わらずです。接種番号の10ケタはデタラメでもエラーがかからず、予約可能。本人認証の仕組みもないですし、他人の接種券番号での、なりすまし予約も可能です。実際に今回もそうした予約が数件、ありました。ずさんなシステム設計で、国民の善意にのみに頼るシステムです。仮に他国やテロリストからの大量架空予約攻撃があっても、防御する術は全くない。防衛省らしからぬ無防備さです」(同省関係者)

 予約申請時に入力する項目は、昨年時の仕様と同じく、接種券に記載されている「市区町村コード(6桁)」、「接種券番号(10桁)」と、「生年月日」のみ。マニュアルによれば、そこから先は会場や接種希望日時を選ぶだけで、個人情報の入力画面はない。

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入札競争をせず、前回と同じ「随意契約」