実際に1月31日~2月5日の予約枠が、受付開始からわずか9分間で埋まってしまったことからも、多数の接種希望者に対して供給が追い付いていない状況がうかがえる。2月7日の接種分からは3倍の2160人に拡充する予定だが、それでも昨年の水準には遠く及ばない。

 前出の防衛省関係者は、こう本音を漏らす。

「“大規模”と銘打ったものの、誇大広告のようなもの。今回はシステムの脆弱さだけでなく、会場としての接種能力も、菅政権時代の93%ダウンと本当にポンコツです。岸田政権は、ワクチン接種の遅れを『自治体の接種体制が脆弱』と地方のせいにしていますが、政府の大規模センターこそが脆弱です」

 なぜ、こうも供給能力が減ってしまったのだろうか。

「これもひとえに、ワクチン不足が原因。とりわけファイザーワクチンが決定的に不足していることが、遅れを決定づけています」(同)

 1月27日時点の日本の3回目のワクチン接種率は、全人口のうちわずか2.72%。OECD加盟国の中では最下位で、他国と大きく水を開けられている。岸田文雄首相は1月31日に接種会場を視察した際、「3回目接種はオミクロンに対抗するための大変有効な手段だ」「接種券が届いたら、スピード優先で接種を受けてもらいたい」と述べていた。「今後どんどんペースアップしていく」とも強調していたが、果たして実現されるのだろうか。先行きは不透明なままだ。

(AERA dot.編集部)

■予約システムの設計について、防衛省の回答全文は以下の通り。

【今回の接種会場運営においては迅速性を第一としたため、予約システムは前回同様の仕組みとしております。存在しない接種券番号の入力による予約を完全に防止するためには、全市区町村が管理する接種券番号を含む個人情報をあらかじめ防衛省が把握し、入力させる予約情報と照合する必要があると認識しておりますが、接種対象となる国民の個人情報を防衛省が把握することは適切ではないと考えています。一方、接種会場に来場された際には、接種予約者の予約情報と持参された接種券および身分を確認できる書類等を照合する等、接種予約の掌握を厳格に実施することとしており前回の運用時においても特段の問題は生じなかったと承知しています。いずれにしても、不正な手段によってワクチン接種の予約を実施することは、ワクチン接種を本当に希望する方の機会を喪失し、貴重なワクチンそのものを無駄にしかねない悪質な行為であるため、くれぐれも虚偽予約をしないでいただきますよう、お願い申し上げているところです。】