写真はイメージです(Getty
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写真はイメージです(Getty Images)

 新型コロナ感染者の急激な増加が止まらない。これまでの流行では見られなかった子どもにも感染が広がり、学級閉鎖も相次いでいる。いったいいつピークを迎え、そのとき、社会が混乱しないために、私たちはいま何をすべきなのか。政策研究大学院大学、土谷隆教授のシミュレーションによると、東京都で第6波がピークに達するのは「2月上旬」だという。

【シミュレーション】ピークを迎える時期は一目瞭然

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 土谷教授の最新予測によると、東京都における第6波のピークは2月4日。新規陽性者数は3万668人に上るという。足元の状況をみると、1月26日時点で東京都の新規陽性数は1万4086人。ここから10日あまりで、倍以上に増えるという驚きの数字だ。東京都の専門家会議の予測では2月3日に2万4千人という数字もある。

「実は、3万人という数は、ちょっと多いかな、と思っています。でも、実際の新規陽性者数が予測を上回り、『安心していたのに』と、言われるのは不本意で、『土谷は大げさだから』って、思われるくらいのほうがいい」

 そう言って、土谷教授は感染症の数理モデルを扱う学者としての胸の内を率直に明かす。

 新規陽性者数のピーク値は、行政が把握していない未発症の感染者が市中にどれだけいるか、それをどう推計するかによってかなり変化する。一方、時期の予測については、「感染ピークの時期はほとんど変わりません」と、土谷教授は説明する。

 シミュレーションによると、第6波は2月上旬にピークに達した後、急速に低下し、3月までにほぼ収束する。

政策研究大学院大学土谷隆教授の研究室のサイトより
政策研究大学院大学土谷隆教授の研究室のサイトより

 だが、これで安心してはいけない。土谷教授が新規陽性者の予測を元に、待機濃厚接触者数を予測したところ、2月 中に100万人から150万人の待機濃厚接触者が発生するというのだ。

「悲観的かもしれませんが、そういうこともあり得ます。今やっている濃厚接触者の特定と追跡を続ければ、保健所の機能はパンクし、回らなくなるでしょう。行政が把握できない陽性者が街中にいて無意識に感染を広げている状態ですので、感染の実態を把握して拡大を防ぐうえでは、労力多くして効果が少ないやり方です」

政策研究大学院大学土谷隆教授の研究室のサイトより
政策研究大学院大学土谷隆教授の研究室のサイトより
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