選手名鑑を見ると、50メートルの自己ベストが5秒台と書かれた選手が少なくない。数字だけを見るとこの競争で接戦が予想されたが、実際は大きな差があった。

プロ野球選手の50メートル走のタイム申告は当てになりません。手動で計測しているから誤差が大きいし、正確に50メートルの距離なのか怪しい時もある。遠投も同様です。プロ入りした際にアピールポイントで120メートルの強肩と書いてある選手はいますが、実際に計測すると届かないケースは少なくない。ただ、プロのスカウトはそこの数字は重視していません。足の速さは重要ですが、イコールで盗塁できるという世界ではない。塁間の速さ、スタートを思い切りよく切れるか、減速しないスライディング技術などを見ます。遠投も山なりで遠くに投げる能力より、捕ってから速く低い弾道で正確に投げられる選手の方が評価されます。誤解されるので、アマチュア時代に測った50メートル走や遠投の記録などは表記しない方がいいかもしれません」(スポーツ紙記者)

 50メートル走5秒台、遠投120メートル…新人選手を取り上げる際のアピールポイントでこれらの記録を大々的に報じることが多い。自戒の念を込め、これらの報道を見直す必要があるかもしれない。(西川秀之)