中川翔子
中川翔子

 インターネットの掲示板に殺害予告を書き込まれたタレントの中川翔子さん(36)。書き込んだ男は書類送検されたが、警察に相談し事件化される経緯の中で、中川さんは「書き込みが何倍にもなって加害者に跳ね返ってくる現実」を垣間見たという。中川さんに思いを聞いた。

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 今年10月、脅迫と侮辱の疑いで警視庁中野署に書類送検されたのは都内に住む20代の男。6月にネットの掲示板で、中川さんに対し「自殺しろ」「殺害する」などと書き込んだとされる。報道によると、男は精神的なトラブルを抱えていたという。

 中川さんは「加害者についての詳細な話は控えさせていただきます」と前置きしたうえで、こう切り出した。

「私以外のケースもそうだと思いますが、加害者側にどのような事情があったとしても、被害者にはその事情は関係ありません。ネットで脅迫的な書き込みや誹謗中傷を受け続ける側は、相手の姿が見えない状況で、恐怖におびえたり苦痛に耐えながらの毎日を生きなければならないからです」

 中川さん自身、ネットで自分への攻撃がいつから始まったかは覚えていない。それくらい長い間、数多くの中傷が続いてきた。

「ありもしないことを書き込まれて……相手はたくさんいて自分はひとり。言い返すこともできず、泣き寝入りしかできないという空気の中で、芸能活動をやめたい、死んでしまいたい。そう思うこともありました」

 ただ、近年はネットでの脅迫的な書き込みや誹謗中傷について、警察に相談したり法的措置を取る有名人が増えてきた。その状況下で起きた自身への脅迫的な書き込み。容疑である「自殺しろ」という文言以外にも、危害を加えるかのような書き込みが複数あり、内容がエスカレートしていったという。

「歩いていても、この先に誰かがいて襲われるんじゃないか。殺されたらどうしようと、恐怖がつきまとう日々でした。ただ、ここ最近、有名人は言われて当たり前、という空気が変わってきていると感じましたし、私自身も変わるべきだと思っていました。泣き寝入りしかできないと思っている人たちに何か形を示すことができればと、勇気を出して警察に相談することに決めたんです」

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國府田英之

國府田英之

1976年生まれ。全国紙の記者を経て2010年からフリーランスに。週刊誌記者やポータルサイトのニュースデスクなどを転々とする。家族の介護で離職し、しばらく無職で過ごしたのち20年秋からAERAdot.記者に。テーマは「社会」。どんなできごとも社会です。

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「巻き込まれてしまったご両親がかわいそう」