※ソノラマプラスでは、今回のランクインを記念して、『魔女をまもる。』1、2話と、著者の代表作である戦国武将・真田幸村の生涯を描いた『朱黒の仁』1巻を期間限定で無料公開。ぜひこの機会、お見逃しなく。『魔女をまもる。』http://sonorama.asahi.com/series/post-43.html『朱黒の仁』』http://sonorama.asahi.com/series/syukokunojin.html
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『魔女をまもる。』http://sonorama.asahi.com/series/post-43.html
『朱黒の仁』』http://sonorama.asahi.com/series/syukokunojin.html

――主人公のヴァイヤーだけでなく、師匠にあたるアグリッパも人気が非常に高かった。 

 実はこの作品を手掛けるにあたって、まずヴァイヤーの師匠がアグリッパだったということに一番驚きました。当初は医療という分野から入ったので、魔術や悪魔学がここまで絡んでくるとは想像もしていませんでした。調べていくと、そういった事象が当たり前のようにあった時代だったんだなとわかったのですが。と、同時に、大魔術師が医師として活躍していたこの時代の常識や価値観を現代日本人に伝えるのは、とても大変なことだと思いました。

 アグリッパは古代の知恵から何かを掴もうとした人で、自分から発明することはほぼなかった人です。そういう意味では同時代の発明家パラケルススとは全然違う人ですね。

■作品のスタートは、コロナ禍とまったく関係ない5年前

――作品の中でヴァイヤーやアグリッパが発する言葉の数々に感銘を受けた人も多かった。<知らないから怖いのだ 知る事をためらうな それがたとえ悪魔でも><“無知”は“恐れ”を呼ぶ>など、コロナ禍の先の見えない今、我々が抱える不安や悩みに打ち勝つための言葉のようにも感じられ、学びが多いという声も多かった。

 現代人がここまでリアルに学べる状況になってしまうとは悲しい現実ですが、それはいつどんな時代にも起こるのだと再認識させられました。 

 まず連載企画がだいたい5年前でしたので、コロナ禍とはまったく関係なく、この作品はスタートしました。最初から最後まで訴えたかった内容は連載当初から変わっていません。コミックスが発売した昨年に16世紀を彷彿とさせる疫病が現代に流行したことは大変残念ですが、歴史の中では何度もそれを繰り返しています。さらに魔女狩りをしてしまう群集心理をみていると、いつの時代も、その都度、“完璧な現代人”なんていないと思っています。それでも創作としての歴史漫画は俯瞰で読むことができるので、その俯瞰の見識を、現実にも適応してもらえたらと願います。

取材・文/原 真紀子(書籍編集部)

<著者プロフィール>
槇えびし(まきえびし)/漫画家、イラストレーターとして活躍。代表作に『天地明察』全9巻(原作・冲方丁)、『朱黒の仁』全3巻などがある。