大塚篤司医師
大塚篤司医師

 皮膚がかぶれたり、発疹ができたりしたとき、それは金属アレルギーによる可能性が考えられます。金属アレルギーは貴金属などの身につけるものだけとは限りません。体のかゆみや湿疹は、食材に含まれている金属が原因になることもあるといいます。近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が解説します。

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 皮膚科では金属にかぶれた患者さんをしばしば診察します。時計やネックレス、宝飾品などかゆくなってつけられない。ひどい場合は、時計の形通りに発疹ができ、水ぶくれを作る人もいます。

 貴金属など身につけるもので起きる金属アレルギーは、患者さん自身が気が付きやすいものです。しかし、それ以外の金属アレルギーとなるとどうでしょう?

 例えば、虫歯の治療で入れた金属でアレルギーを起こすことがあります。掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)という病気は、手のひらや足の裏に水ぶくれができる皮膚のアレルギー疾患なのですが、原因のひとつに金属アレルギーが指摘されています。それも虫歯で使う歯科金属です。まさか口の中の金属が皮膚の病気の原因になるとは患者さん自身も気が付きません。

 皮膚科では金属パッチテストという検査を行い、どの金属にアレルギーがあるかを確認します。金属パッチテストを行ってみると、本当に金属にアレルギーをもっているのか、実は金属はあまり関係ないのかがわかります。判定結果をみて、必要な場合は歯科金属を外してもらいます。

 体のかゆみや湿疹の原因が金属アレルギーのこともあります。食材によっては金属が多量に含まれており、このせいで全身にかゆみが出現します。ニッケル、コバルト、クロム、マンガン、亜鉛、銅は金属アレルギーを起こしやすく食材にも多く含まれています。

 まず気をつけてほしいのは豆類です。例えば、コーヒー豆。コーヒーには、コバルトが多く含まれているため、したがってコバルトアレルギーの人にコーヒーはよくありません。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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