※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 医学部はすべての学部で最も難しいと言われる。少ない定員に対し、成績上位層が数多く受験するのが特徴だが、地方枠入試という方法もある。好評発売中の週刊朝日ムック「医学部に入る2022」では、受験を検討するにあたって知っておきたいこと、受験生がよく疑問に思うことについて、医学部専門予備校YMS・七沢英文さんに聞いた。

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◆Q 「地域枠入試」はどのくらい難しい?

 地域枠入試は地方の医師不足の解消を主な目的とした入試だ。都道府県から奨学金の貸与を受ける代わりに、卒業後、その地域で一定期間働くことが義務付けられている。文部科学省によれば2020年医学部定員のうち、地域枠等の定員は1679人。割合は全体の18.2%にあたり、推薦入試として募集しているものもある。人口減の中で今後、医師数は減らされていくが、地域偏在は解消されていないため、地域枠の増員や新たな設置は継続される見込みだ。この地域枠入試は、「一般入試よりも倍率が低い」「合格しやすい」などと言われる一方、偏差値などの具体的な指標が明らかになっておらず、難易度の把握が難しい。

「理由は各地域の募集定員数が少ないこと。たとえば10人の定員に対して受験者が10人という年もあると聞いています。このような場合、合格者のトップと下位の差が大きくなりがちで、難易度を測ることが難しい。実際、難しさはその年によって違うと考えたほうがいいのです」(七沢さん)

 一方で地域枠の人気は一時期より落ちているともいわれる。厚生労働省は18年度分の地域枠入試を調査。その結果、22大学が設けた募集枠で定員の2割を超える欠員が出ていたことを明らかにしている。

「学費を負担してもらえるというメリットから受験を考える人がほとんどだと思いますが、地域枠は途中で辞めたら貸与金の全額返金の義務が生じます。また、学費自体も税金から支払われているので、道義的にも中途半端な気持ちで受験することはおすすめできません」(同)

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