巨人が火中の栗を拾ったわけではないのは確かだ。中田は今シーズンこそ不調に陥り、二軍降格なども経験したが、昨年は119試合に出場して31本塁打、リーグトップの108打点をマーク。年齢も今年で32歳と打者としての円熟期を迎え、新天地移籍で環境が変わったことで更なる進化も期待できる。ファースト、DHでの出場が主になってきたが状況次第ではレフトも任せられる。巨人にとって日本一奪回が最大の目的。内外野、DHとフル起用できる中田は日本シリーズ対策にも見える。

「中田が何を思ったか後輩をぶん殴ってしまったというニュースを見た時はびっくりしました。どういう理由であれ暴力は良くないですよね。これは中田がしっかり被害者に対して誠心誠意謝罪するべきでしょうし、本人もしっかり反省し2度と繰り返さないようにすることが大事だとは思います」(ダルビッシュ有・ブログ/8月28日)

 これだけの大事件を起こした選手を普通は敬遠しがちだ。しかし野球人として認める人物も多く、手を差し伸べる関係者も多かった。ダルビッシュは日本ハム時代から中田に目をかけており、時に厳しい叱咤激励をしてきた。自身も今シーズンは結果が残せず苦しい状況ではあるが、直電するなど後輩へのケアを忘れていない。また巨人移籍に関しても日本ハム・栗山英樹監督、かつての同僚でもある稲葉篤紀氏などが、巨人・原辰徳監督へ直接連絡をしていたことも明らかになった。

「調子に乗りやすい。プレーに好影響を与えることもあるが、今回のようなことになってしまった。体育会系の狭い世界で育ってきたスター選手の典型的な失敗です。でも本物の天才ですし、野球への向き合い方に関して否定をする人はいない。(暴力事件があり)関わりたくないと思っても当然ですが、球界の大御所も心配してくれる。選手生活も長くないのだから、野球だけに真剣になって欲しい。敵も多いが味方もいますから」(中田を高校時代から知るスポーツライター)

次のページ
今後の中田に注目