中田翔の暴行事件で揺れる日本ハム
中田翔の暴行事件で揺れる日本ハム

左から日本ハムの秋吉亮と松本剛(C)朝日新聞社
左から日本ハムの秋吉亮と松本剛(C)朝日新聞社

 西武の木村文紀、佐藤龍世と日本ハムの公文克彦、平沼翔太の交換トレードが12日に両球団から発表された。シーズン中の同一リーグでは異例のトレードだが、どのような事情が背景にあったのだろうか。スポーツ紙記者はこう解説する。

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「前半戦を終えて西武が首位・オリックスから6.5ゲーム差、日本ハムは最下位ですがCS圏内の3位まで7.5ゲーム差と、後半戦次第でまだ逆転可能な位置にいます。西武は左のセットアッパー、日本ハムは打力強化が懸案事項でした。一昔前に比べ、トレードも積極的に行われるようになり、『飼い殺しより他球団で活躍した方が選手の野球人生が輝く』という考えが球界で浸透している」

 そしてトレードの狙いをこう続ける。

「木村は18、19年とリーグ連覇に大きく貢献し、ファンの人気も高い選手でしたが、今年は腰痛で戦線離脱している間に、同じ外野手で新人の若林楽人、2年目の岸潤一郎、高卒6年目の愛斗と20代の選手が台頭して出場機会が少なかった。33歳とベテランの域に入りますが、イースタン・リーグでは30試合出場で11本塁打を打っているし体の状態もいい。両球団がウィンウィンのトレードになるといいですね」(同前)
 
 優勝メンバーの木村、若手成長株の佐藤を放出した西武が、獲得したのは中継ぎ左腕の公文だった。巨人から16年オフに日本ハムへ移籍すると、セットアッパーとして素質が開花。19年に自己最多の61試合登板し、13年の初登板から20年途中まで182試合連続無敗を記録した。今年は同じ左腕の堀瑞輝、河野竜生の台頭で登板機会を減らしていたが、西武では「左殺し」として大きな戦力になる。遊撃、二塁、三塁と幅広く守れる平沼も身体能力が高く、新天地での活躍が楽しみな選手だ。

 日本ハムは中田翔がチームメートへの暴行が発覚し、無期限の出場停止が決まった。近年は下位に低迷しているため、トレードを含めた大幅なテコ入れを断行する可能性がある。

 他球団のスコアラーは「トレードを考えた時に、日本ハムは宝の山です」と話す。

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日本ハムの次なるトレード候補は?