SNSに投稿された大半の写真は自身の「腕前」を披露しているものだ。モデルのような美しい外国人女性や有名な観光地の風景が素材になっている写真が多いが、気になるものもあった。
髪の長い女性が、暗い風景に立ち尽くし「DEATH DRIVE」(死の欲動)というタイトルが付けられた不気味なコラージュがSNSにUPされている。
また、若い外国人女性が下を向き、両手を縄で縛られ、鎖で吊るされて写真は「INSIDE」と記されている。昨年の投稿は男性の顔がアップで映し出され、口元を鎖で塞がれ、血が滲んでいる写真もある。
血に染まった女性が倒れて「死滅」とタイトルが打たれたグロテスクなものがあった。「血」「鎖」などへの興味、11年間、捜査の手から逃れてきたことを誇示するかのような内容とも解釈できる。A容疑者はSNSに自らの顔写真も公開していた。
兵庫県警は事件後、ちょっと太めでぼさぼさの長髪に描かれた犯人の似顔絵を公開していた。似顔絵入りのチラシを配り、2012年には懸賞金300万円もかけられていた。
だが、A容疑者の顔写真はきれいに整えられた短髪で目鼻がクッキリし、あまり似ている印象はない。県警と一緒にチラシを配った堤さんの父親は逮捕時、次のコメントを発表している。
「『本当なのか』と驚くとともにこれまで情報提供を求める活動を重ねてきた思いもあいまって、涙がこみ上げてきました。私達にできることは静かに冥福を祈ることです。」
なぜ、A容疑者は堤さんへの凶行に及んだのか。
A容疑者は自身のSNSには、<憎悪の感情に悩まされている方のお役に立てる>と綴り、<不都合は他人のせい、被害者ヅラをしていた自分に気づく><非合法的活動という衝動>などと自身の犯行を示唆するような内容もあった。
最後は<私には覚悟・我慢・諦観が最も役立つ>と結んでいる。
動機は今後の兵庫県警の捜査でどこまで明らかになるのだろうか?
(AERAdot.編集部 今西憲之)