辞任したミュージシャンの小山田圭吾氏(C)朝日新聞社
辞任したミュージシャンの小山田圭吾氏(C)朝日新聞社

 開幕まであと3日となった東京五輪・パラリンピックで、またも大どんでん返しが待っていた。大会組織委員会に激震が走ったのは、7月19日午前―-。

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 過去に雑誌で障がい者の同級生をいじめていた過去を告白し、大炎上した五輪開会式作曲担当のミュージシャン、小山田圭吾氏が「辞任したがっている」との情報が寄せられたという。

「当初、組織委の橋本会長、武藤事務局長はもとより、官邸も『謝罪で幕引き』という安易な発想でいました。あと4日しかないんだし、辞めさせるなんてもってのほかだと。批判が高まっても辞任などまったく想定していない状態でした。だから、『本人が辞めたがっている』と一報が入ると、関係者に動揺が走りました」(組織委関係者)

 しかし、丸川珠代五輪担当相は「承知していない」「組織委と東京都がお決めになること」といつもの常套句を繰り返し、当事者意識はゼロ。

「武藤事務総長は『このタイミングでもあるので引き続きやってもらう』と言い、橋本会長も思考停止していて問題を人ごとのようにスルーしていました」(同前)

 問題発覚以降も留任し続けてきた組織委の武藤事務総長は同日夜、小山田氏の辞表を受理した経緯を以下のように発表した。

「小山田氏の行為は断じて許されるものではないと考えますが、先日、本件についての反省とお詫びを受け入れ、開会式が迫っているなか、引き続き準備に努めていただくと表明しました。これは誤った判断であると考えるに至り、辞意を受け入れることにいたしました」

 小山田氏は開会式担当の4人の作曲家の1人。開会式オープニング映像とともに流れる4分の音楽を担当したという。組織委は小山田氏が作曲した曲は「開会式では使用しない」と明言した。

「今回の小山田氏の辞任は官邸主導とメディアで盛んに報じられていますが、実際は官邸も組織委も危機感の希薄さは同じようなものでした。本人の意思が強かった。官邸主導などと胸を張って言えるものではなく、むしろ指導力不足が露呈しただけです」(官邸周辺者)

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「バッハでいくしかない」と官邸