7歳の息子から尊敬される父親になりたい。そんな気持ちを活力に、単身赴任先でひとり頑張る父親。このまま思春期を迎えたときに、父親として尊敬されるかを心配しています。月1回息子と接する際に、どのようなことを心がけるべきでしょうか。「論語パパ」こと中国文献学者の山口謠司先生が、「論語」から格言を選んで現代の親の悩みに答える本連載。今回の父親へのアドバイスはいかに。

※写真はイメージです(写真/Getty Images)
※写真はイメージです(写真/Getty Images)



*  *  *
【相談者:7歳の息子を持つ30代の父親】
小1の息子から尊敬される父親になりたいです。私は普通のサラリーマンで、いまは単身赴任中でコロナもあって息子に月1回しか会えていません。できれば、父親らしく一家を支えるために頑張って働いている姿を見せたいのですが、それもできません。消防士やトラックの運転手といった息子があこがれる職業ではありませんし、先月の父の日も忘れられていたのか、とくにプレゼントはありませんでした。いまは懐いてくれていますが、このまま思春期を迎えたときに、父親として尊敬されるか心配です。どのようなことを心がければいいのでしょうか。

【論語パパが選んだ言葉は?】
・「己(おのれ)を脩めて以(も)って百姓(ひゃくせい)を安(やす)んず」(憲問第十四)

・「父父たり。子子たり」(顔淵第十二)

【現代語訳】
・「自分のことは常に修養し、周りの人たちを安心させるのが君子というものだ」

・「父親は父親らしくありなさい、子どもは子どもらしくありなさい」

【解説】
 お答えします。サラリーマンは立派な職業です。すべての職業があってこの社会が成り立っていることからすれば、あらゆる職業に価値があります。自分を卑下するようなことはやめましょう! 第一生命保険が小学生に尋ねた「大人になったらなりたいもの」の調査によると、小学生の男の子が将来なりたい職業の第一位は、「会社員」なのですよ。

 単身赴任でいらっしゃるとのこと、それは寂しく、大変なことだと思います。でも、きっとそれは、母親である妻も7歳の息子さんも同じでしょう。とくに、妻である母親の立場になって考えてみてください。一人で育児と家事をするのはとても大変なことなのです。

著者 開く閉じる
山口謠司
山口謠司

山口謠司(やまぐち・ようじ)/文献学者・中国学者。大東文化大学教授。1963年、長崎県生まれ。同大学大学院、英ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。NHK番組「チコちゃんに叱られる!」やラジオ番組での簡潔かつユーモラスな解説が人気を集める。2017年、著書『日本語を作った男 上田万年とその時代』で第29回和辻哲郎文化賞。『ステップアップ0歳音読』(さくら舎)『眠れなくなるほど面白い 図解論語』(日本文芸社)など著書多数。母親向けの論語講座も開催。フランス人の妻と、大学生の息子の3人家族

NEXTまず、妻をねぎらうことです
1 2 3