中学受験に挑む場合、カギを握るのが塾選びだ。大手塾から個人塾まで数ある中で、どんな基準で塾を選べばいいのだろうか。また、入塾後は何を心がければいいのだろうか。『偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2022』(朝日新聞出版)では、ウェブサイト「中学受験情報局『かしこい塾の使い方』の主任相談員でもある教育家の小川大介さんに取材した。

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 これまで6千人以上の受験生の相談に乗ってきた教育家の小川大介さんは、進学塾を選ぶ際、まず心がけるべきことについて次のように語る。

「塾によってそれぞれレベルや指導方法などは違いますから、お子さんの性格などによって合う、合わないは当然あります。塾選びで失敗しないために最も大切なのは、お子さんの学習スタイルを理解しておくことです」

 近年、中学受験生の勉強時間は以前に比べて増加している。勉強した分だけ思考力や知識量が成長する子がいる一方、「塾に通ってものすごく勉強しているのに、それに見合うような成長ができていない」子もいるという。そうした足踏みを避けるためにも、まずはわが子の学習スタイルを把握し、どのような環境であれば効果的に勉強ができるかを考える必要がある。そのためには、「このやり方が勉強しやすい」「こういうときは頑張れる」といった“わが子理解”を心がけることが重要だ。

「成績を上げるには、適度に頑張れる環境が一番いい」と小川さん。学習成果を認めてほしい意欲的な子は競争を促す塾、計画的な勉強が苦手な子は面倒見の良い塾が向いているという。わが子の学習スタイルを理解すれば、適した塾はおのずと見えてくる。小川さんは続ける。

「塾の知名度や合格実績だけを見て『あの塾に行けば成績が上がって志望校に合格できる』と考え、失敗するご家庭がたくさんあります。どの塾に行けば成績が上がるかではなく、わが子にとって最善の勉強ができる塾はどこか、という視点を持って塾選びをすることが必要です」

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池田敏明
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