菅政権の迷走が続いている。
西村康稔経済再生担当大臣が休業要請などに応じない飲食店に対し、金融機関を使い“圧力”をかけようとした発言(8日)が大炎上。批判が噴出した。西村大臣の辞任を求める声が、野党だけではなく、SNSでも溢れた。こうした批判を受け、西村大臣、加藤勝信官房長官、菅義偉首相は慌てて撤回。併せて要請していた酒類販売事業者に対する飲食店との取引停止については、当初撤回しない方針を示していたが、13日になってこちらも撤回した。
混乱が続くコロナ対策だが、AERAdot.が入手した資料によると、菅内閣による飲食店への「第3の圧力」があったことがわかった。
その資料は6月11日に、内閣府地方創生推進室と内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室から、各都道府県宛に出された通達だ。「酒類の提供停止を伴う休業要請等に応じない飲食店との取引について」と題した箇所には、こう書いてある。
<飲食店が同要請等に応じずに営業を続けていることを知りながら取引を行っている酒類販売事業者について、支援金を支給することは適当ではありません>
<都道府県においては、月次支援金が給付要件を満たしているかどうかを確認する宣誓・同意書を申請者に求めていることを参考に、酒類販売事業者に対して、飲食店が要請に応じていないことを把握した場合には取引を行わないよう努める旨の書面の提出を求めるなどの取組みを行うようお願いします>
文書について政府関係者はこう解説する。
「これは内閣府、内閣官房と内閣府による地方自治体を使った”圧力”です。内閣府地方創生推進室は各県への交付金を握っていますから、要請は事実上、『命令』です。各省庁、都道府県、業界団体とあらゆるところに手を回し、飲食店へ圧力をかけようとしているのです。当然ながら、菅首相をはじめ、関係閣僚は承知しています」
東京都や大阪府などでは政府の通達に基づき、違反した飲食店には酒類販売業者に「取引を行わない」という趣旨の誓約書を書かせている。