緊急事態宣言下の繁華街の様子(C)朝日新聞社
緊急事態宣言下の繁華街の様子(C)朝日新聞社

 政府は新型コロナウイルスの感染が拡大する東京都に4度目の「緊急事態宣言」を発令する方針を固めた。期限は8月22日までになる見込みだ。現在発令中の「まん延防止等重点措置」を延長する方向で調整していたが、東京都の感染者数が急増している状況を踏まえて方針転換した。

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「この緊急事態宣言が感染拡大の抑止力になるかは疑問です。緊急事態宣言は今回が4度目で、政府はいつまでに感染者数をどれぐらい減らすという具体的な施策を昨年から全く示していない。世間も嫌気が差して、緊急事態宣言に対して1回目のように重く受け止める雰囲気がない。なにより東京五輪は予定通り開催するという『大きな矛盾』が、自粛ムードを遠ざけている。国民の我慢は限界に来ています。強力な対抗軸がいない中、都議会選挙で自民党の票が伸び悩んだのもそれが一因です。政府はこの状況をもっと深刻に受け止めないと」(自民党関係者)

 東京都福祉保健局のウェブサイトによると、7日16時45分の時点で新型コロナウイルス新規感染者は920人。900人を超えたのは、5月13日の1010人以来約2カ月ぶりで、曜日別の推移でみると、6月30日の714人から206人増えた。今回の緊急事態宣言について、前出の自民党関係者は「政府分科会の尾身茂会長が緊急事態宣言を出さないと乗り切れないと訴えて政府が飲まざるを得なかった」と経緯を明かす。

 尾身会長と言えば、6月2日の衆議院厚生労働委員会で、東京五輪・パラリンピックをめぐり、「今の状況で(五輪を)やるというのは、普通はないわけですよね、このパンデミックで。そういう状況のなかで、やるということであれば、オーガナイザー(主催者)の責任として、開催の規模をできるだけ小さくして、管理の態勢をできるだけ強化するというのは、私はオリンピックを主催する人の義務だと」、「そもそも、今回のオリンピック、こういう状況のなかで、一体何のためにやるのか。目的ですよね。そういうことが、ちょっと明らかになってないので。このことを私はしっかりと明言することが、実は人々の協力を得られるかどうかという、非常に重要な観点だと思うので」と政府に訴えた発言が大きな反響を呼んだ。

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