ワクチンを注射器に吸い出す医療関係者(c)朝日新聞社
ワクチンを注射器に吸い出す医療関係者(c)朝日新聞社

 新型コロナワクチンの接種が職場、大学で本格化している。

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 集団免疫により、パンデミックが収束されると言われているが、ワクチン接種に強制力はない。周囲の接種状況を見てからワクチンを打つかどうか決めたいという人も多いだろう。

 派遣会社に勤める40代女性は「ワクチンで副作用のニュースを見ると不安になります。安全、安心の確率の方がはるかに高いんでしょうけど、日本は接種率がまだまだ低いのでもう少し様子を見ようかなと。『ワクチンを打たないと悪い』みたいな空気が職場に流れていますが、接種するか決めかねている人が多いです。8、9月頃に接種するか決めようかなと。遅いかもしれませんが、今の段階では決断できません」と悩める胸中を口にする。

 一方で、アレルギーなど疾患を抱えていたり、自身の信念でワクチンを打たない選択をする人もいる。

 都内のイベント会社に勤務する30代男性も「ワクチンを打たない」という決断をした。だが、職場接種が始まり、上司から「ワクチンを打たないなら、感染した時にボーナス減給や労災認定ができないことを考えてほしい」と伝えられたという。

「決定事項ではないので、会社にまだ正式な抗議はしていませんが、最初に聞いた時は驚きました。小さな会社なので上司の意向が強く働く。ワクチン接種が半ば強制なのが実態です。僕は副作用が気になるので接種しません。万が一の事態が起きても、会社が責任を取ってくれるわけではないですから」

 一方、千葉県内に住む管理職の40代男性は部下に対し、ワクチンの話題を避けているという。「デリケートな問題ですからね。『ワクチンを接種したほうがいい』と迂闊に判断して、接種しない人が『ワクチンハラスメント』と重く受け止めてしまう恐れがある。接種しない人の肩身が狭くなり、働きづらい環境になるのは良くない。極力話題にしないようにしています」と神経を使っていることを明かした。

 ワクチンを接種しない人たちが職場や学校でいじめ、差別など不利益を被ることは断じて許されない。

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