――威嚇シーズンの防御法は?

「カラスは襲ってくる前に警告をしていて、最初は警戒の声を出します。“カッ、カッ、カッ、カッ……”という短い声の繰り返しです。この声は、カラスの声を聞き慣れた方でないと、他の声との違いがわかりづらく、なんとも聞き分けにくいかもしれません。ちなみにCrowLabのYouTubeでその声を紹介してます。

 さらに危機感を感じると威嚇の声に変わる。人間に対して“近寄るな!”という声を発するんですが、その声は“ガァー―――ガァー―――”と濁った感じの長めの声です。 その声は、年がら年中発している声ではなく特徴のある声のため、聞き分けやすいかと思います。今の時期にその声を聞いた時には“近くに威嚇攻撃してくるカラスがいるかも”と警戒し、用心してその付近を通り過ぎると急な威嚇攻撃でよろけて怪我をするということもないと思います」

――濁った鳴き声が聞こえた時に取る行動は?

「人に対してカラスは恐怖心を持っているというか、人間の方がカラスよりもはるかに大きいので、人を怖がっているのは確か。だから、カラスが真正面から攻撃してくることはあまりない。基本的には死角から攻撃してきます。そうなると狙ってくるのはだいたい後頭部。カラスの巣の近くを通る時には、後頭部を守るような帽子をかぶる、傘をさすなどで防ぐことはできます。

 あとは、“万歳ポーズ”。これはNPO法人札幌カラス研究会 の中村眞樹子さんの考案なのですが、万歳つまり両腕を上げたポーズをしながらカラスの巣の付近を通過する。腕上げすることでカラスが後ろから人をめがけて降りてくる時に、翼に腕が当たる可能性がある。カラスの翼って非常に敏感で、翼にモノが当たるのをとても嫌がるんですよ。翼に何か当たる可能性があるとなるとカラスも躊躇したり、少し遠巻きに様子を見ていることになる。それで、勢いが弱まったりするので、誰にでも簡単にできる、素晴らしい対策だなと思います」

 コロナ禍で運動不足解消に早朝散歩をしている人も多いかと思うが、濁った鳴き声を聞いたら万歳ポーズを!

(文・AERAdot.編集部 太田裕子)