喫煙者にはわからないが、非喫煙者にはすぐわかるタバコのニオイ。喫煙者が多い場所では、服などに付着するニオイも気になるが、この換気システムにより大幅な軽減が期待できる。全面喫煙可能な喫煙目的店のほかに、1階が完全禁煙席で2階が喫煙目的室という、非喫煙者も利用できる店舗もあり、そこでは2階の煙が1階に流れ込まないよう、空気循環を工夫している。オープンから約半年が経過したが、1階の利用者からのクレームはなく、「喫煙者と非喫煙者、お互いにとって良い取り組みなのでは?」との声もあったそうだ。

 都内で昭和40年代から営業している老舗の喫茶店は、家族経営の小規模店舗だったこともあり、都に申請し「喫煙可能店」として営業している。現在、利用者の7割ほどが喫煙者だという。店主は「喫煙可能店」とした経緯を次のように話す。

「昔から『喫茶店で一服』といえばタバコはつきものだったからさ。喫煙できる場所が少なくなっていくなかで、ここでの時間を楽しんでくれている常連さんも多いから、この空間を守りたかったんだよね」

 喫煙者のマナー意識の向上が大前提とはなるが、環境や非喫煙者に配慮したうえで喫煙できる場所を一定数確保することが、「望まない煙」をなくし、非喫煙者、喫煙者が気持ちよく共存できる社会の実現の一助となるのではないだろうか。(原子 禅)