「住宅すごろく」ゲームの終焉が生んだ新たな<地域格差>のメカニズムとは (1/5) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

「住宅すごろく」ゲームの終焉が生んだ新たな<地域格差>のメカニズムとは

 格差が格差を生む“新型格差社会”、令和日本。社会学者・山田昌弘さんは、『新型格差社会』(朝日新書)で、格差を5分類することで根本的要因を指摘。<家族><教育><仕事><地域><消費>それぞれにおける格差の実態について、ここでは、旧来型の「住宅すごろく」が機能しなくなったことで生まれる“格差”について本書より抜粋・改編してお届けする。

*  *  *
■「住宅すごろく」が機能しない

 三十年程前までは「一般的なサラリーマンが歩む定型人生ルート」なるものが、暗黙のうちに成立していました。男女問わず、その人の年齢と職業を聞けば、どういった住まいで、どのような暮らしを送っているのか、大概の想像ができたものです。

 その原因の一つは、多くの日本人が「住宅すごろく」とも呼べるゲームに参加していたからです。幼い頃は<実家>に暮らし、10代後半からは<下宿>や<アパート>暮らし、20代後半で結婚し、<社宅>や<賃貸>マンションなどに住み、30代で夢の<(戸建て)マイホーム>を手に入れてゴール。それが「住宅すごろく」の道筋でした。

 この「住宅すごろく」の特徴は、このゲームに参加しようと決めた人ならば、基本的に皆、最終ゴールまでたどり着けたという点です。もちろん素早く順調にゴールできる人もいれば、一進一退を繰り返す人もいます。本人の努力以外に、サイコロの目という運命の巡り合わせもあります。20代で都内にマイホームを手に入れられる人もいれば、40代後半にようやく郊外の地に自宅を構えられる人もいた。しかし、スピードやレベルの差はあれ「すごろく」はゲームですから、参加者は基本的にゴールできる仕組みだったのです。これが高度経済成長期から90年代までの状況でした。

 しかし平成に入り、バブル経済がはじける頃には、「住宅すごろく」は機能しなくなってきました。途中でドロップアウトしてしまう、あるいはゴールしたと思った瞬間、振り出しに戻るなど、バグのような人生のどんでん返しが生じてしまうのです。パンデミック下ではマイホームを購入したはずの家庭が失業でローンの返済不能に陥り、マイホームを手放さざるを得なくなったり、真面目に働いてきた人が解雇されて<生活保護>や<ホームレス>に転落したり、信じがたいケースが続出しています。


トップにもどる dot.オリジナル記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい