鈴木誠也選手(C)朝日新聞社
鈴木誠也選手(C)朝日新聞社

 他球団のファンは意外に感じるかもしれない。侍ジャパンで不動の4番を張る鈴木誠也だが、広島ファンからは「4番失格」の辛らつな声も少なくない。13日現在の今季成績は打率.295、7本塁打、16打点。決して悪い成績ではないが、なぜなのか。

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「広島ファンの間では『チャンスに弱い』と言われています。チャンスの場面で初球から振りに行かない姿勢、待っている球と違う球種で見逃し三振に倒れる姿が淡白に映るようです。チームが勝っていればこういう不満の声も噴出しないんでしょうけどね…16~18年に3連覇した時の活躍を見ると物足りなく映るのかもしれません」(スポーツ紙遊軍記者)

 確かにチームの低迷も、鈴木に対する風当たりが強くなっている大きな要因だろう。3連覇の黄金時代を築いた後、19年はBクラスの4位に転落。佐々岡真司監督で新体制を切った昨年も5位に低迷した。今季も4月下旬から6連敗を喫するなど、借金はふくらみ、首位争いを繰り広げる阪神巨人の背中は遠くなっている。

 チームが負ければ、主力が叩かれるのは宿命ではあるが、鈴木は「メジャーに最も近い野手」として米国スカウトの評価は高い。16年から20年まで球団初の5年連続打率3割の快挙を達成。プロ野球史上4人目の5年連続打率3割、25本塁打もクリアした。19年に打率.335で首位打者を獲得するなど、卓越したミート能力と長打力を兼ね備えた球界屈指の強打者だ。打撃だけではない。外野からの強肩に定評があり、19年には25盗塁をマークするなどトリプルスリーも十分に狙える可能性を秘めている。

 国際舞台でもその名を轟かせた。19年のプレミア12では全8試合で4番に座り、大会MVPを獲得。打率、打点、得点と打撃タイトルを総ナメにした。今年の東京五輪でも稲葉篤紀監督は4番の最有力候補として鈴木の名を挙げている。

 シーズントータルできっちり数字は残しているが、チームが勝てない責任を背負い込んでいるようにも見える。昨年は8、9月の月間打率が上がらず、4番から3番に打順を変更。今季も開幕当初は4番だったが、チーム事情もあり、4月下旬からは3番で起用されている。
 

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