コーチングの期間は2、3 カ月に設定しているスクールが多い。息切れせずに集中して勉強できる長さだし、勉強の習慣も身につく。たとえば、毎日90 分の勉強を3 カ月続ければ合計100 時間を超えるので、英語力の伸びが感じられるという。

 船橋さんが担当したケースでは、最初は週10時間だった勉強時間が20時間にまで増え、3カ月たたないうちにTOEICの点数が450点から700点台にアップした人がいた。途中で目標を800点へと上方修正したという。また、別の30代男性は395点から800点へ、2カ月で405点のスコアアップ。会社の昇進要件だった点数を無事クリアすることができた。

「英語が苦手な人でも、初期の頃にやればできるという体験をすると自信がつきます。大事なのは小さな成功体験を積み上げること。なぜできたのかをセッションで話し合って認識してもらうと、勉強のノウハウが自分の中にたまっていって、上手に学習できるようになるんです」

■コーチングを受けた期間は人生の財産になる

 では、スクール、コーチはどう選べばいいのか?

「コーチングのスクールは3年ほど前から急増し、選択肢は広がっています。学習時間の設定や価格帯もさまざまです。自分の得たい結果や期日、予算など、『これは外せない』という判断指標を持って、絞り込んでいくといいと思います。体験レッスンで雰囲気を確認しましょう。スクールやコーチとの相性が大事です」

 船橋さんの最終目的は「自走できる学習者」をつくることだ。

「コーチングを通して、自分を客観的に見られるようになる、自立した学習者になってほしいですね。この手法は英語学習だけではなく、何をやるときでも応用できます。コーチングで得ることは、人生の大きな財産になると思います」

◆船橋由紀子(ふなばし・ゆきこ)
英語学習・メンタルコーチ。2010 年からコーチング型英語指導スクールでコーチを務め、約4000 人の指導に関わる。17 年に独立、学習者に合った英語学習の指導を提供する。著書に『超コーチング式英会話上達法』(アルク)。

(文/仲宇佐ゆり)

※『AERA English 2021 Spring & Summer』より