■コーチとの対話で本音を言葉にする

 船橋さんは「GROWモデル」を使ってコーチングを行っている。いつまでにどの状態を目指すのかを決め(G)、現在の英語力を把握し(R)、目標に到達するための学習方法を選び(O)、いつどこで誰とどういうふうに勉強するのか、計画を立てる(W)。

 成否に大きく影響するのが学習の動機だ。何カ月間か集中して勉強するには覚悟が必要だから、何のために頑張るのかを最初に明確にしておく必要がある。

「実はうわべだけの目標を持っている人が意外と多いんです。本当は何のために英語を習得したいのか、最初に深く問いかけます。それがやる気に直結するからです」

 最初は「会社でTOEICのスコアが必要になったから」という受け身の目的しか意識していない人でも、コーチがよく聞いてみると、「仕事は自分のほうができるのに、あいつに英語で負けているのがくやしい」といった、熱のこもったリアルな話が出てくる。目標がはっきりしない人には「このまま英語を勉強しないでいくとどうなります?」と問うと、今やるべき理由が見えてくることがある。

 一人でぼんやりとした目標に向かうのではなく、達成したらどんな世界が開けるのか、頑張る価値はどこにあるのかをコーチとの対話の中で考え、本音を言葉にすることで、やる気のスイッチが入るのだ。

■学習量、効果を定期的にコーチが確認

 こうしてゴールが決まったら学習をスタート。SNSで進捗状況をコーチに報告し、だいたい1、2週ごとにセッションを設けて話し合いながらPDCA サイクル(PLAN→DO→CHECK→ACTION)を回していく。プランを立てて学習し、それがうまくいっているかどうかをコーチが定期的にチェックする。

 船橋さんは主に三つの点をチェックしている。一つは時間や進んだページ数などの勉強量。二つ目は数字ではなく、「あ、聞けた!」とか「勇気を持って話せた」という体験。三つ目は、ミニテストによる学習の効果だ。そして改善点を指摘し、勉強の質を上げつつ量も増やし、英語力を伸ばしていく。

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コーチングで得た財産は英語以外にも役立つ