千葉県船橋市の職員4人が、帰りのバスに間に合うように定時の2分前に退勤し、別の職員に定時で打刻させる行為を繰り返していたとして処分を受けた。定時の退勤ではバスに間に合わず、次のバスまで30分待たなければならない事情があったという。公務員による不正行為への批判がある一方で、専門家からは働きづらさの改善を求める声も出ている。

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 10日に処分を受けたのは、船橋市教育委員会の生涯学習部出先機関で働く課長補佐級の女性職員(59)と、60代の女性職員2人、以前同じ職場にいた20代男性職員の計4人。

 課長補佐級の女性職員は、2019年5月~今年1月に計316回、定時の2分前に退勤。職場に残っていた別の職員に、勤務を管理するICカードの代理打刻を依頼していた。

 女性職員自身が勤務管理を担当する立場だったといい、責任を重く見た市教委は減給10分の1(3カ月)の懲戒処分とした。さらに欠勤規定に沿って、約13万7千円の返還を求めるという。

 他の3人も13年4月~今年1月の間に、同じ方法で8~233回、早く退勤した。この3人についても訓告や厳重注意とし、返金を求める方針だという。

 キャリアもあるベテラン職員らが、たった2分を我慢できずに不正行為を続けたのには「ある理由」があった。

 市教委によると、職場の勤務時間は午前8時45分から午後5時15分。だが、定時の退社時間直後のバスの出発時刻は午後5時17分で、職場からバス停までは歩いて4分ほどかかるため、定時の退勤では間に合わない。次の5時47分発のバスを待たないといけないという。

 バスは昔から本数が少ない。

 4人のうち最も古い職員は13年4月に赴任しているが、職場では、それ以前から同様の不正行為が慣例化していたとみられる。

 市では職員の希望に合わせて定時を30分か1時間、前後にずらせる制度を設けてはいる。ただ、この職場では制度を利用したとしてもバスの発車時刻と合わず、長く待つことになるのだという。

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「業務に支障を与えたということはない」