2020年5月には、恣意的な定年延長という疑惑の渦中にいた検察幹部と新聞記者が「賭け麻雀」を重ねていたことが発覚。信頼が失墜したが、メディア側は、きちんとした決別ができずにいる。

 暗澹たる気持ちになるが、希望の光はある。

 2018年4月の財務事務次官のセクシュアルハラスメント問題以降、社の枠を超えた女性記者のネットワークができた。泣き寝入りを強いられてきたセクハラの問題に限らず、いまの日本メディアが抱えている構造的な問題に切り込んでいる。テレビの報道番組などにたずさわる有志が立ち上げた映像プロジェクト「Choose Life Project」も市民の後押しで育ちつつある。官邸記者クラブの中でも有志の記者が、今までの慣行を見直そうと動き出している。

 コロナ禍を受け、既存メディアも再編に突入する。

「メディアをうらむな。メディアをつくれ」

 政治とメディアの暗部を描き出した「ザ・空気」シリーズ第2弾の最後のセリフ 。私たちはいま、その渦中にいる。