3連覇の中心選手だった広島・菊池涼介 (c)朝日新聞社
3連覇の中心選手だった広島・菊池涼介 (c)朝日新聞社

 広島東洋カープのここまでの凋落を誰が予想しただろうか……。

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 18年にリーグ3連覇を果たしたが、その後の2シーズンはAクラスにも入れなくなってしまった。チームは明らかに過渡期に差し掛かっている。ここで判断を間違えば、かつての暗黒時代が再来してしまう恐れもある。

 2010年代、NPBの主役は広島だった。

 低迷期から紆余曲折の復活劇はドラマチックでさえあり、野球ファンだけでなく世間を巻き込むほどだった。

 市民球団の広島は、巨人阪神に“経済的格差”をつけられていた。それでも数年おきにリーグ優勝、Aクラス入りするなど、セ・リーグでは侮れないチームだった。しかし91年のリーグ優勝を最後に勝てない時期が続き、旧広島市民球場には文字通り閑古鳥が鳴いた。生え抜きで主力となった選手も相次いで移籍するなど、復活の兆しは見えず衰退の一途を辿った。

 しかし、09年のマツダスタジアム開場あたりから潮目が変わり始めた。育成重視を徹底、若手の底上げを図りチーム強化を着々と進めた。ファン数も増え始め、『カープ女子』と呼ばれる女性ファンを作り出した。マツダスタジアムは人気スポットとなり、経済的にも潤い始めチーム力も向上。黒田博樹、新井貴浩など移籍組復帰も重なり、NPB屈指の人気、強豪チームへと変貌を遂げた。

「16年からのリーグ3連覇は圧倒的な強さを誇った。勝ち続けることは難しいし問題点も出てきたが、経済的に余裕が出てきて適材適所の強化もしていた。強豪になったことでドラフトなどでの選手補強もやりやすくなった。チーム戦術も確立されつつあり、しばらくは黄金期が続くと予想していた。リーグ優勝は当然で、狙うは日本一と本気で思っていた。昨年、CS進出を逃した時は、他球団の勢いがあり、たまたまの結果だと高を括っていた。しかしながら今年の惨敗は言い訳できない。慢心も見え中心選手の高齢化も進み、過渡期でもある。またコツコツと再建するしかない」(広島OB)

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強かった広島はどこへ…