桜丘高校時代から大きな注目を集めている富永啓生 (c)朝日新聞社
桜丘高校時代から大きな注目を集めている富永啓生 (c)朝日新聞社

 コロナ禍のNBAはファイナルを開催中。現地時間6日時点でロサンゼルス・レイカーズがマイアミ・ヒートに3勝1敗とし王手をかけ、波乱のシーズンはいよいよ大詰めを迎えている。その世界最高峰のリーグ入りを目指しているのが、桜丘高校を卒業し現在はテキサス州のレンジャー・カレッジにバスケ留学中の富永啓生だ。

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 ルーキーシーズンの富永は、プレーシーズンこそ米国のバスケにアジャストすることに苦労したようだが、シーズンが始まると徐々に適応し、最終的にチームの主力として活躍。31試合に出場すると1試合平均16.8得点、2.3リバウンドの数字を残して見せた。特筆すべきは、そのシュートの正確性でFG成功率は54.9%、3Pシュート成功率では47.9%と約5割を決めるシューターぶりを発揮。シュート力で高い評価を受け、完全にチームからの信頼を勝ち得ている。

 そして、その実力が認められ2021年の秋にはNCAAディビジョン1のネブラスカ大学への編入も決定した。ネブラスカ大といえば、NBAでのコーチ歴もあるフレッド・ホイバーグHCが指揮を執る名門校。所属するビッグ10カンファレンスにはインディアナ大学やメリーランド大学など全国的にも知られる強豪大学が名を連ねており、カレッジバスケ界の中でもハイレベルな舞台に立つ富永のプレーが今から楽しみでならない。

 そんな富永の魅力は、前述した通りのシュート力だろう。身長185cmとバスケ選手としては決して恵まれた身体とはいえないが、その左手から放たれる長距離砲の威力は抜群だ。

 高校3年生で出場したウィンターカップでは、6試合で平均39.8得点の数字を残し得点王となったこともすごいが、3位決定戦の帝京長岡戦では46得点をマーク。3Pシュート成功数は30本と大会No.1に輝き頭ひとつ抜けた存在となった。

 日本にもこれまでロングシュートに長けたプレーヤーは多く存在している。最近でも、昨季で引退した折茂武彦氏は、Bリーグを含めた国内トップリーグの通算3P成功数で1,000本を超え長く屈指のシューターと言われてきたし、シーホース三河の金丸晃輔はオールスターの3Pコンテストで連覇を果たしただけでなく、リーグ記録に並ぶ1試合で11本の3Pシュートを成功した名シューターだ。

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富永の“異次元”のシュート力