また、開幕戦で通算3P成功数1,000本を達成したアースフレンズ東京Zの岡田優介、京都ハンナリーズの松井啓十郎、川崎ブレイブサンダースの辻直人らも日本を代表するロングシューターに数えられるだろう。

 しかし、富永はこうしたプレーヤーたちのロングシュートを凌駕してしまいそうだ。これまでの名手たちは3Pライン付近からシュートを繰り出す、いわゆる「普通の」長距離砲が目立つが、富永のシュートは全く別物。もちろん3Pラインからのシュートもあるが、そこから離れているところでも構わず打ちまくり、それを決めてくる。

 NBAではステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)やデイミアン・リラード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)らのシューターが、ハーフコート付近からロングシュートを放つシーンが多く見られるが、富永のスタイルはまさにそれを彷彿させるもの。勝負所でクラッチショットを決めるリラードのクラッチタイムのプレーを「デイムタイム」と言うが、富永にもそのうち、そのプレーぶりを表すフレーズが生まれるかも知れない。

 とにかく富永は、これまでの日本のロングシューターとは異質で、それでいて歴代最高のシューターになる可能性を秘めた存在であることは間違いないだろう。

 さらに富永のチャレンジは、日本のバスケットボール発展にも大きな影響を与えるはずだ。これまでNBAに挑戦しその切符を手にした日本人は田臥勇太(宇都宮ブレックス)、メンフィス・グリズリーズと2way契約した渡邊雄太、そして八村塁(ワシントン・ウィザーズ)の3人だが、この中に生粋のシューターはいない。

 日本代表はフロントコートにNBA選手を擁する布陣となったが、これに世界に通用するような点取屋が誕生すれば、攻撃力アップと戦力アップは確実。富永がこのまま順調に成長を続け、渡邊や八村に続くNBAプレーヤーとなれば、日本と世界の差は急速に縮まるはずだ。(文/田村一人)