ガラタサライ時代の長友佑都(写真/gettyimages)
ガラタサライ時代の長友佑都(写真/gettyimages)

 サッカー日本代表のオランダ遠征(9日カメルーン戦、13日コートジボワール戦)は、コロナ禍による入国制限などを理由に史上初となる“オール海外組”で実施される。招集メンバー25名のリストに特別な驚きはなかったが、今回、改めて気づかされたのが海外クラブでプレーしている日本人選手の人数の多さだった。

 南野拓実や柴崎岳、大迫勇也、堂安律、冨安健洋、久保建英といった今回の招集メンバー以外にも、長谷部誠、香川真司、本田圭佑といったベテラン勢から森岡亮太、小林祐希、武藤嘉紀といった30歳手前の面々、さらに中島翔哉、浅野拓磨の20代中盤、安部裕葵、食野亮太郎、中村敬斗といった20代前半の若手まで多士済々。現在、50名を超える日本人選手たちが海外クラブでプレーしている。

 海外組増加の理由はいくつかある。日本人選手の海外志向の高まりだけでなく、欧州クラブのスカウティング網の広がりと日本人選手の評価とお買い得感の定着。日本企業が経営権を保有するシント=トロイデン(ベルギー)のようなクラブが出現したことも大きい。

 そして最近は、A代表に選出される前、Jリーグで1、2年プレーしただけの若手が、欧州クラブに青田買いされるパターンが増えている。このこと自体は、「2030年W杯での4強入り」を掲げる日本代表チームを強化する上では必要なことだろうが、有望な若手が次々と引き抜かれるJリーグ各クラブの立場からすればマイナス面が大きく、日本サッカー界全体の発展と盛り上がりを考えた場合も、決して喜ばしいことばかりではない。

 その解決策として考えられる方法の一つに、ポジティブな形での「出戻り」の事例を増やすことがある。現在、J1の舞台には家長昭博や清武弘嗣、宇佐美貴史、山口蛍といった絶賛活躍中の「元海外組」がいるが、彼らは欧州舞台で失意を味わった面々でもある。

 横浜FCには欧州舞台で長く活躍した中村俊輔、松井大輔の2人が在籍しているが、年齢的に完全に峠を越えている。過去を振り返っても、海外で実績を積んだ上で「まだまだやれる」状態でJリーグに復帰して活躍した選手は数少ない。現状、「国内復帰=都落ち」の感覚が拭いきれないのだ。

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闘莉王も長友らのJ復帰を“アドバイス”