自分とは遠い役を演じながら、俳優という仕事の役割を考える機会になったようだ。

「<元気>を届けられればいいな、と。『この人を観ていると元気になれるよね』って感じてもらえれば、こんなに嬉しいことはないとはないと思っています」(同)

東京公園
2011年6月公開の映画。三浦さんはカメラマン志望の青年・光司を演じた。自然あふれる公園の中で、三浦さんは主人公の心の揺れを繊細な演技で表現している。

「好きなことをやっているけど先のことはわからない。同世代でもある彼の不安定さにも共感できました。僕自身の友達も今ちょうと就職活動する時期で、そういうこの話を聞くと“わかるなあ、みんな不安なんだろうな”と思ったりするし。だから光司役に自分から遠いと思わせるものはほとんどなかったんです」(CREA  2011年7月号/21歳)

永遠の0
 2013年12月公開の映画。三浦さんは、戦時中に特攻で亡くなった祖父の生涯をたどる孫の役。この役を演じるにあたり、三浦さんは自分の祖父について知りたくなり、母親に話を聞くと、祖父は戦時中に航空兵を志願していたという事実が明らかになったという。三浦さんにとって忘れられない作品となった。

「祖父はたまたま目が悪かったために航空兵の試験に通らなかったそうですが、もし視力がよかったら特攻で命を落とし、僕も誕生しなかったかもしれない。この本(原作)との出会いが、改めて祖父や自分の命について考えるきっかけを作ってくれました」(CREA 2013年5月号/23歳)

僕のいた時間
2014年1月から放送されたドラマ。三浦さん演じるごく普通の大学生・拓人が筋萎縮性側索硬化症(ALSの)発症によって、自分の人生を見つめなおすニューマンストーリー。三浦さんは、テレビのドキュメンタリー番組で難病と闘う家族の姿に感銘を受け、それを口にしたことがきっかけで、このドラマが実現した。

「自分が演じてこなかった感情を表現してみたい。その先にある何かに触れてみたい。心から思ったんです」(朝日新聞 2014年2月22日朝刊/23歳)

 豊かな感性と、想像力で難しい役を演じきった。

「拓人を演じていくなかで、まだ僕も出会ったことのない感情や考えに出会うかもしれません。ALSの発症によって、人の温もりやささやかな音の優しさを感じることのできる心が育つ…ただの雑音と思っていた物事や人の声。そのすべてに意味があり、大切だとわかるようになる。それは健康で、何不自由なく過ごしていると、見過ごしがちなのではないでしょうか。そこを表現していけたら、と思っています」(25ans  2014年3月号/23歳)

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役者人生の転機となった舞台とは?