また他の部分でも環境は良かった。東京を本拠地としながら巨人と異なり、ファンやマスコミなどの重圧も少ない。六本木など気分転換できる場所もある。そういう意味でもヤクルトは最高の『家』でもあったが……。

「『巨人入り最有力』という話も出た。バレンティン側も真剣に検討していた。しかし過去に巨人移籍した選手の苦悩などを聞き、考えを改めた。そこで候補として浮上したのがソフトバンク。資金力も豊富であり、博多という大都市に本拠地を構える。中南米系選手も多くチームにも溶け込みやすいと考えたのでは」(ヤクルト担当記者)

 ジャック・ハウエル(95年、以下カッコ内は巨人への加入年)、ロベルト・ペタジーニ(03年)、セス・グライシンガー(08年)、アレックス・ラミレス(08年)。過去には投打の中心として活躍した外国人選手が、次々とヤクルトから巨人に移籍したが必ずしも結果は残せなかった。

『ファミリー球団』と『常勝球団』では、環境が違い過ぎるのが理由の1つ。注目度が高くプライベートまで制限され、ストレスがパフォーマンスにも影響を及ぼしたことが推測される。ソフトバンクなら、ヤクルト時代同様の好環境だと判断した。

「超が付くほどの気分屋。記録がかかったり注目を浴びれば、練習から集中力を発揮する。しかしうまく行かないとサボり癖が出る。休みたがるのは日常茶飯事。それでも結果を出していたから良かったが、新しい環境では本人、周囲とも苦労するはず」(ヤクルト球団関係者)

 気分屋だが、周囲を明るくする陽気な性格。扱い方さえ慣れれば、本業での結果も計算できる。ヤクルトではうまく行っており、NPB史上に残る記録も達成した。

 しかしソフトバンク1年目は様々な状況が裏目に出た格好だ。

「リーグが違えば慣れるのに時間はかかる。ヤクルト時代のように、高待遇で扱ってくれる思っていたがそうは行かなかった。近年のソフトバンクは新陳代謝が激しい。出番を待っている若手が山ほどおり、ハングリー精神は半端ない。バレンティンも居心地が良いはずはない」(ソフトバンク球団関係者)

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ヤクルトへの電撃復帰はある?