ところで杉田氏がこだわる「慰安婦」問題だが、今回杉田氏は、釈明のブログでこう記していた。

「(韓国の『慰安婦』支援団体に)長年誰も切り込めなかった期間の公金の不正利用などの問題が次々と発覚している」

 つまり韓国の「慰安婦」支援運動に不正があったと断じ、だからこそ日本の民間団体への税金投与をすべきではないという態度だ。もうね、いい加減なこと言わないでほしい。

 今年5月から韓国の「慰安婦」支援団体「正義連」(元挺対協)が韓国の保守メディアによる激しいバッシングにさらされてきたのは事実だ。支援者があまりのことに自殺してもなお、報道は続いた。結局騒ぐだけ騒ぎ、「疑惑」のイメージだけが強烈に植えつけられてしまったが、9月14日に韓国検察が発表した報告書によれば、挺対協(現正義連)の代表尹美香氏への嫌疑の大部分が不起訴になった。結果的に尹美香氏はいくつかの「疑惑」により在宅起訴を受けたが、それは国の補助金から人件費の支払いを受けた職員が正義連に寄付したことが「横領容疑」とされたりなど、強引なものであることが指摘されている。尹美香氏は争う姿勢を表明しており、杉田氏が言うような「不正利用」の事実が公的に認められたわけではない。

「慰安婦」問題を矮小化し、性暴力被害者をおとしめる発言を繰り返し、永田町まで行った杉田水脈氏。こんな「成功」は完全否定しておきたい。

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表

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北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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