「不正出血というと、患者さんの多くは赤い血を思い浮かべるようですが、茶褐色や黄土色などで、おりものと間違えやすい場合もあります。また、出血があっても止まってしまい、安心して放置してしまうこともあります。すべての不正出血が子宮体がんをあらわすわけではありませんが、たとえ赤くなくても、月経周期と異なる出血や閉経後の出血が一度でもあれば、婦人科の受診をおすすめします」

 検査はまず内診と超音波検査で、子宮内膜の様子をみる。子宮内膜が増殖して異常に厚くなっていると、がんの存在が疑われる。閉経後の人では子宮内膜が4ミリ以上であれば要注意とされる。

 次に子宮からがん細胞を採取して調べる細胞診がおこなわれる。がん研有明病院婦人科部長の金尾祐之医師はこう話す。

「この段階ではがんがある場所がはっきりしないこともあって、細胞診の確実性は7割程度と考えられています。そのため、がんの疑いが強い場合はさらにしっかりと組織を採取して調べる、組織診をおこないます」

 組織診は採取に痛みを伴うことがある。とくに妊娠・出産歴のない人や高齢者では、強い痛みになることもあり、入院して全身麻酔下でおこなわれる場合もある。

 組織診の結果、がんが確認されたら、CT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴断層撮影)などの画像診断で、がんがどれくらいの深さまで達しているか(浸潤度)、がんの広がり具合、リンパ節や他臓器への転移の有無を調べる。

   治療は手術で卵巣・卵管の摘出が第一選択

 子宮体がんの進行によって、子宮内膜の下の筋肉の層(筋層)への浸潤が、筋層の深さの2分の1未満であれば低リスク(IA期)に、2分の1以上であれば中リスク以上(IB期以上)と診断される。そのほか、がんの組織型や悪性度、転移の有無などを総合的に評価して、最終的なリスク分類がおこなわれる。

 子宮体がんの治療は、手術によって子宮、左右の卵巣・卵管を摘出することが第一選択となる。病変の広がりやリスクに応じて、リンパ節に転移の可能性がある場合は、リンパ節の切除(郭清)も実施される。

 術後の再発リスクが高い場合や、すでに再発・転移している場合は、抗がん剤などの薬物療法をおこなう。

次のページ
気になる5年生存率は?