今夏もシーズンを迎えた「青春18きっぷ」。JR旅客全線の普通列車が乗り放題、気軽な日帰り旅行から“乗りテツ度”の高い長距離列車旅まで、使い方はアイデア次第。もちろん誰にでも使えるけれど、どうして「青春」?なぜ「18」?
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■若者をメインターゲットに企画された乗車券だった
「青春18きっぷ」(以下「18きっぷ」)は、JR旅客6社が発売、快速などを含む普通列車限定ながら、JR全線が乗り降り自由となる企画乗車券だ(一部第三セクター路線や特急などでも利用できるケースも)。毎年、春と夏、冬の3シーズンに発売され、今夏も7月1日から8月31日まで発売、利用は7月20日から9月10日までとなっている。
JRの「みどりの窓口」やおもな旅行代理店などで発売され、1枚の値段は1万2050円。1枚あたり5回分となっており、1回ごとに使った日の24時00分(日付が変わる)まで何度でも乗り降りが自由。乗車中に日付が変わる場合は24時以降最初の停車駅まで乗車できる(東京と大阪近郊の「電車特定区間」のみ「終電」まで有効)。期間中任意の5日(連続でも飛び飛びでもOK)を使ってもいいし、5人一緒に日帰り旅行を楽しんでもいい。また、2人で2日分を使い、残り1回分をひとりで使うこともできる。言い換えると、1日(回分)あたり運賃で2410円分を乗れば、あとはどんどんおトクになるだけでなく、普通列車が乗り降りし放題というきわめて自由度の高い切符なのだ。
ところで、「青春18」とは不思議なネーミングではないだろうか? 年齢を問わず誰にでも使えるのに「青春」。「18」は年齢を意味するようにも思えるのだけれど……。実は、私自身も「18きっぷ」には学生時代から親しんできたのだが、はじめてこの切符の存在を知った時、「妙ちきりんな名前だなァ」と思ったのを覚えている。
「18きっぷ」が登場したのは1982年2月。当初は「青春18のびのびきっぷ」の名前で売り出され、翌年の春から「青春18きっぷ」に改められている。この名前、実はその意味どおりと言ってよく、高校を卒業する18歳ぐらいの青少年をターゲットに企画された乗車券なのであった。当時、慢性的な赤字体質のなか増収を迫られていた国鉄は、若年層の長距離利用が比較的少ないことに着目。学生が長期休暇となる春・夏・冬に格安な切符を売り出すことによってその利用者増を図った結果が「18きっぷ」だったのである。