業界としては若い部類に入ることから、“逆サバ読み写真”にされていて、まるで自分とは思えないほどの「オバサン占い師」がそこにいた。ちなみに、担当者からは「落ち着きのある雰囲気のほうがウケがいいから」とアドバイスされたという。

 利用料は1分当たり200円台と他の占い師よりも安い設定だった。設定料金が安いこともあり、待機すると最低1回は電話が入ったが、自分の収入にはつながらなかったという。

 美代さんいわく、料金が安い占い師は、サイトが設定した「無料通話分」の範囲で電話占いを楽しむ層が利用者となることが多い。料金が高い占い師と比べると、気軽に長く話せるからだ。しかし、無料通話分は収入には反映されてないので、タダ働きになることも多かったという。また、占いに特有のこんな事情もあると明かす。

「私も入ってから知ったのですが、電話占いは料金が高い方が人気が出ます。利用者は『高い方が当たる』『当たるから高いのだ』と思い込み、その分、占いで出た結果も信じ込もうとするからです。そうするとまたリピートする、という好循環が生まれやすいんです」

 とはいえ、高い料金設定にするのはリピーターを多く獲得するための「下積み」が必要だ。美代さんの待機時間は月に約100時間、そのうち稼働時間は10時間にも満たない。月収は3万円程度しかなかった。テレビを見ながら着信を待つ日々が続いた。

 ただ、そんな美代さんでも、わずかながらリピーターがついた。20代の女性会社員や主婦などが多かった。相談内容の9割が恋愛関係。もちろん、愚痴だけでなく、時には“占ってほしい”と言われたこともあったが、

「私は占わなくてもあなたの様子が電話越しで分かるから大丈夫よ」

 などと言ってかわし続けた。

 また、「相手が私に対して好意を持っているか、占いで見てほしい」などの相談をしてくる相手に対しては「相性は悪くないと出ています。でも人気があって、恋のライバルも多そうね……」と当たり障りのないアドバイスに終始。「仕事が順調にいくか占ってほしい」という相談には、「努力が全てです。占いではいい方向に進むと出ていますよ」など前向きな返答をすることで相手を納得させた。

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徐々に大きくなっていった「罪悪感」